運命だけを信じてる
恐らく1課は、3課の内容を知り、
ーー盗んだ。
東課長の指示かは知らないけれど、今、堂々と自信満々に発表している姿を前にして虫酸が走った。
倒れるように椅子に座り込む。
着々と進んでいく発表。
あの夜、星崎課長に見せてもらった資料とデザインは違うけれど、7割は内容は同じだった。
会議室で星崎課長は今頃、慌てふためいているに違いない。
どうするんだろう。
同じ内容のものを発表したら、どうなるのだろう。
彼はピンチに拳を握り締めて、見守ることしかできない。
助けてもらったのに。
肝心な時に何もできないなんて。
「以上、1課の発表を終わります」
盛大な拍手が巻き起こる。
本来、その声援は星崎課長が受け取るべきものだったのに。東課長が清々しい顔をして受け止めていた。