運命だけを信じてる

すぐに3課の番になる。

星崎課長が壇上に上がった。

その顔はいつものような柔らかさがなく、固い。私だったら泣きそうになって歯を食いしばっていることだろう。


ゆっくり頭を下げた星崎課長は、そのまま顔を上げなかった。


「申し訳ありません。3課は発表内容がまとまらず、納期に間に合いませんでした。本日、発表できることはございません」


会場が騒つく。

頭を下げたままの星崎課長に役員らしき面々から辛辣な言葉が一斉に投げ付けられる。


「申し訳ございません」


いったいなにを考えている!
君は我が社の恥だ!
謝って許されるとでも思っているのか!


怒号が飛び交う。


モニターを見ていることが辛くなり、視線を上げると、


村井さんと、神田くん、1課の面々がアイコンタクトをして笑みを浮かべていた。
驚いた様子はもちろんない。

ああ、やっぱりそうだよね。

この人たちが、星崎課長を嵌めたんだ。

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