運命だけを信じてる

照れ臭い雰囲気になりながら、距離をとる。


「本当にごめんなさい」


改めて頭を下げる。


「いや、俺も汚い大人になったもんだな。結局は保身に走ったんだ。戦いもせず…でも俺はこれからもこの会社でもがき続けるよ。前山との約束もあるしな」


「…覚えてくれていたんのすか」


「忘れたことなんて、ないよ」


太陽を背に、その暖かさに負けないくらいの優しい笑顔に目を奪われる。



「もう少し一緒に頑張ろうか」


「はい」


差し出された大きな手。
握手を交わす。
強く握った手に、互いの決意を込めて。


どんなことがあっても、この人となら戦える。
辛い仕事だって、嫌な人とだって、逃げずに立ち向かえる。

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