運命だけを信じてる
「前山、」
握ったままの手に気を取られていると、星崎課長は急に真顔になった。
「俺は君に救われたよ」
「そんな大袈裟な」
「俺の心を救ってくれて、ありがとう」
私が出しゃばったことにより星崎課長の立場をより悪くしてしまったかもしれないのに。
「ありがとな」
「私もあの蕎麦屋さんで星崎課長が言ってくれた言葉を支えに、これまで踏ん張ってこれました。お礼を言わなきゃいけないのは、私の方で…」
「そうか。これからも支え合っていこうな」
「はい!」
顔を見合わせて、2人で笑い合う。
この瞬間、私は星崎課長が好きなのだと、
自覚してしまった。