運命だけを信じてる
「そういえばこのメンバーで飲むことも久しいな」
「え?星崎課長の奢りでいいんですか?」
「そうは言ってないだろう!」
目の前で繰り広げられる会話に適当に相槌をうつ。
定時直後、私たちは早々に仕事を切り上げてーー食事をとっている。
冷たいビールと、焼きたてのピザ。
嬉しい状況のはずなのに、食欲はわかない。
「それにしても洒落た店だ。よく来るのか?」
「この間、同期と来ました。穴場ですから、会社の奴らも知らないと思います」
ピザを作るキッチンがオープンになっていて、さらにウインナーやサラダ、デザートがビッフェ形式になっている。女性に人気がありそうだな。
わざわざお洒落なお店を選んでくれた逢瀬先輩の気遣いには感謝をするけれど、余計に緊張するよ。
そもそも本当に今夜、告白しないとダメなの?
「ほら、前山も遠慮せずに食べて」
「はい、いただきます」
とりあえず注文したマルゲリータを勧められ、一口かじる。
逢瀬先輩を見ると、口の端を上げて笑った。
絶対、楽しんでるよ…。