運命だけを信じてる

アイスコーヒーと、カフェラテを買って席に戻ると、入れ替わりでトイレに小牧さんが席を立った。


休日に男性と一緒にいるなんて、本当に久しぶりのことだ。元カレのことはもう思い出さなくなったし、別れて良かったとは思うけれど、やはりひとりは寂しい。

幸い家族は私に結婚しろなんて不躾なことは言わないけれど、自然と店内の子供連れの親子に目がいってしまう。


と、テーブルに置かれたままの携帯が振動した。


小牧さんが置いていったらしい。


大きなディスプレイに表示された名前は、自然と目に入る。


ああ。
昔のようは折りたたみ式の携帯だったら見ずに済んだかもしれないけれど、

そこに表示された"婚約者"の文字に、

落胆した。



なんだ、やっぱり。
いるじゃん、彼にとって特別な人。

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