運命だけを信じてる
第2章
久しぶりに恋人ができた。
いつもと反対のパターン。
私が愛される側に回った恋。
「おはよう」
しかしその朝、同じエレベーターに乗り込んできた星崎課長を見た途端、私の頭から小牧さんが一瞬だけ消えた。
「星崎課長、おはようございます」
「金曜は幹事、お疲れ様。ありがとな」
肩をポンッと一度だけ叩いて、エレベーターを降りていく星崎課長の後姿に頰が緩む。
黒縁眼鏡、少し癖の強い髪と日に焼けた肌。
話しながらよく笑ってくれて、人柄の良さが前面に出ている。真面目だからこそ融通が利かなくて、仕事に対しては厳しい一面を持つ管理職だ。
私は彼の部下として働けて、それが誇りでもある。
「星崎課長、」
「うん?」
廊下で思わず呼び止めてしまった大好きな背中。