運命だけを信じてる

どこか落ち着いて話せる場所はないかと問われ、個室のある会社近くの居酒屋へ案内した。

女子会も多く行われるし、居酒屋にしては清潔な店内だし、問題ないよね…?


道中は何も話さず、彼は私の後に付いてきた。


気まずい…。



「小牧さん、お酒は飲みますか?」


大切な話ならお酒抜きの方が良いかもしれないけれど、アルコールの力を借りたい場合もある。どちらの気分なのかな。


「じゃぁビールで。前山さんは?」


「私もビールにします」


「お酒は強い方ですか?」


「弱くもないですけど、強くもなく…」


それより本題を!

店員にビールと適当なつまみを注文した小牧さんはメニューを私に向けてくれた。


「お腹空いたでしょう。好きなものを注文してください」


確かにお腹は空いている。

でも真剣な話をしている新入社員の前で平然と食べられる程に非常識ではないから、首を振る。



「話ってなんでしょうか」


小牧さんの表情を伺う。

ああ、私で解決できることなら良いのだけど…。

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