運命だけを信じてる

真剣に聞いてみたつもりなのだけれど、小牧さんはメニューをめくり始めた。

はい?
無視でしょうか?


「ビビンバなんてどうです?」


ガッツリ、だ。
いやいや酔いに来たわけでもないのだから、ご飯をメインに注文してもいいけど…まずは話を…。



「それとも麺類がいいですか?」


「…小牧さんは?」


「僕はお腹空きましたよ」


待っている間、なにも食べなかったのだろうか。寒空の下、会社の前で私を待ち続けたのだろうか。


「…それじゃぁ石焼きビビンバで」


「了解です」


どうして入社初日の男性社員と2人きりで居酒屋に居るのか理解できないけれど、これも教育係の宿命なのでしょうか?


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