悪夢はカモミールティと一緒に
 楽しく時間が過ぎていき、私たちの会話が弾んで暫く経った後、リュウゴが訊いた。

「これからどうするの?」

 私は時計で時間を確かめる。

 自分の思うように事が進んで舞い上がっている私は、リュウゴと一緒にこのままいつまでも居たい。

 でもそれを振り切るように私は背筋を伸ばして彼をしっかり見つめる。

「遅刻だけど、堂々と学校に行きます」

「わかった。少し寂しくなるな」

「あっ、そうだ。連絡先交換しなくっちゃ」

「本当にまた僕に会いたい?」

 リュウゴは私に念を押す。

 でもそうやって確かめられると私はどんどんのめり込んで意地になってでも気持ちを曲げたくなくなってしまう。

 却ってそれがリュウゴとの距離をどんどん詰めていくようだ。

 私はやっぱりリュウゴが好き。

 この先もずっとそうであると思う。

 私たちはお互いのスマホを取り出して連絡先を交換する。

 離れてしまってもこれで絆が繋がったままの気がして心強かった。

 この時代、便利なツールがあって本当によかったと思う。

 リュウゴは私に片手を差し出した。

 握手? なんだか今更照れくさいような気もする。

 私は遠慮がちに手を伸ばして、彼の手にそっと触れた。

 強すぎず、弱すぎず、ちょうどいい加減の優しい握り方。

 リュウゴの温かさが私の手に伝わってくる。

 やっぱりドキドキとしてしまった。

 本当は思いっきり彼に抱きつきたかったけど、おばあちゃんの目の前だからちょっと遠慮した。

 でもおばあちゃんを見れば、疲れて寝てしまったようだ。

「おばあちゃん、ありがとうね」

 私は起こさないようにそっと家を出た。
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