神志名社長と同居生活はじめました
「え?」

驚いた。
間瀬さんが、ソーシャル・ピクシーの看板タレントであることは、社内では言うまでもない確かな事実。いや、社内だけではなく、世間でもそういうイメージが強い。
何らかの理由で今回のPRに起用するのを避けることはあったとしても、まさか社長の口からそんなにはっきり〝やめた方がいい〟と言われるとは、正直意外だった。


「どうしてですか?」

「勘」

「え、勘?」

「ーーああいうタイプは、こちらの大事な時期でも構わず、自分のことを優先させるから」

「?」

社長の言っている意味がよく分からなかったけれど、まあ、勘だと言うなら深い意味なんてないかもしれないし、それ以上突っ込むのはやめた。



「……まあ、社長の俺がこの段階で社員の企画にあれこれ口を出すのは良くないから、やめるよ。ただ、無理な残業だけはしないように」

「社長もですよ? 普段はもっと帰りが遅いんでしょう?」

「その〝社長〟っていうの、やめない?」

「はい?」
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