神志名社長と同居生活はじめました
「……え?」

「どう?」

どう? というのは、何がどうなのだろう。


それって、つまり……。



「結婚しよう」



けっ




こん⁉︎





「えーーっ‼︎」

私の大きな声が、観覧車を突き抜けるんじゃないかという程に飛び出た。


「うるさい」

「す、すみません! 自分でもうるさかったです!
で、でも、社長が変なこと言うから!」

「変なことじゃない。
それに、雅の家に初めて行ったあの時も、言ったじゃん」

「だってあの時は、私じゃなくても良かったんでしょ?」


だけど、今の言葉は……



「プ、プロポーズって思ってもいいんですか……?」

「えっ、何泣いてるの」

「すみましぇん……」


交際0日婚って、芸能人とかでたまに聞くけど……こういう感じなのかな?
あ、私達は今日婚姻届を提出する訳じゃないから、0日婚とは違うのかもしれないけれど。



プロポーズに対する私の答えは、勿論。



「私も結婚、したいです」


私の答えに、社長は満足そうに笑った。



そして観覧車が地上に到着するまでの間――私達はお互いの気持ちを確かめるように、何度も何度もキスを交わした。


ずっとずっと、この時間が続けばいい。そう願わずにはいられないほどに、幸せな時間だった。
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