毒は甘くて苦いだけ
cry everyday
冬の寒さが和らいでいく三月。岡こころの高校では、卒業式が行われていた。卒業するのはこころたち三年生。

この日は、こころにとって大切な日だ。自分を傷つけた最低男に復讐を決行する日ーーー。

辛くて、ずっと泣いていたこころに手を差し伸べてくれた仲間たち。

最初は信じられなかった。でも、今では大切なかけがえのない友達だ。

絶対に、罰を与える……。

こころは、最低男ーーー近藤将馬(こんどうしょうま)の顔をちらりと見ながら誓った。



こころに初めて彼氏ができたのは、高校二年生の終わり頃だった。

それまでこころは、家庭の事情で彼氏が作れなかったのだ。

こころの家は、母子家庭。両親はこころが幼い頃に離婚し、こころは母と祖母と一緒に暮らしていた。

しかし、祖母がこころが中学生になった頃から認知症になってしまったのだ。日に日に祖母はこころたちのことを忘れ、徘徊などをするようになってしまった。
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