毒は甘くて苦いだけ
しかし、こころもついに女の子とデートをしている将馬を目撃してしまった。

夜、こころはシャーペンを買いに街を歩いていた。すると、反対の道をおしゃれな私服を着た将馬とかわいい女の子が歩いていたのだ。

最初は、こころは妹や姉と歩いていると思い込んだ。しかし、二人の手をよく見ると、きつく絡めている。

そして、こころが見ているのに気付く様子もなく、二人は街中で堂々とキスをした。

こころの足元が一瞬にして崩れる。目の前が真っ暗になるのと、キスシーンを見るのを繰り返す。こころは泣きながら家へと帰り、一晩中泣いた。

将馬は、いつも学校では女の子たちに囲まれている。付き合っているなんて、まるで嘘のようだった。それでも、こころは将馬が優しくしてくれるたびに、将馬と付き合っていると思い込んでいた。

こころはキスシーンを思い出しては、毎日のように泣いた。将馬はこころに話しかけてくることも少なくなり、この関係が終わりかけているとこころは気付いた。そしてーーー。
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