毒は甘くて苦いだけ
空き教室の前に立ち、こころはドキドキする胸を押さえる。すると、こころがドアを開ける前に中からドアが開いた。

「あっ、来てくれたんだね!我が同志よ!」

ショートカットの女の子がこころに抱きつく。突然のことにこころは驚いた。

「私、澤村真央(さわむらまお)。こころちゃんとは一度も同じクラスにはなったことないね〜」

「言われてみれば、そうだね」

真央は陸上部の部長をしている子で、クラスの中心にいる存在だ。こころとは正反対。日に焼けた肌が、真央の活発さを物語っている。

「さあ、入って!もうみんな来てるから!」

真央はこころの手を引っ張る。

「ま、待って!一体どういうことなの?」

こころは真央に、空き教室の中に引っ張り込まれた。そこには、二十人近くの女の子たちがいる。

「こころちゃん、こんにちは。怖がらないで。私は南望美(みなみのぞみ)。怖いことは何もしないわ」

望美は放送部の副部長をしている。こころとは二年生の時、同じクラスだった。

「うん…。でも、ここは一体何なの?どうしてこんなに人が集まってるの?」
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