愛は貫くためにある
玄関のドアの隙間から差し込む僅かな光で、勉は目を覚ました。自分にぴったりとくっつく温もりに気付いた勉は、ふと笑みを零した。
「ずっと、隣にいてくださったのですね」
勉は、麗奈の手をしっかりと握っている自らの手を見た。麗奈は手を離すことなく、勉の手をずっと握っていたようだ。勉は昨夜のことを思い返していた。
「お嬢様…あの時、僕の手を握ってくださいましたよね?どうしても、僕は気持ちが高ぶってしまいます。勘違いではないと思いたい…。僕とこんな風に寄り添ってくださるということは、つまり…」
勉が独り言を発している間に、麗奈は何度かもぞもぞと動いていた。
「お嬢様?」
起こしてしまったか、と麗奈の様子を伺う勉は、静かに目を開いた麗奈と目が合った。
「あっ…勉さん、おはようございます」
にっこりと微笑む麗奈はなんの悪気もなく、無邪気に勉に笑顔を向けただけだった。しかし、勉には逆効果だった。
「…」
黙って麗奈をじっと見つめる勉の姿に、麗奈は戸惑った。
「勉さん…?どうなさったんですか?」
勉は何も答えず、麗奈の両肩を優しく押して右手を床につけた。
「ひゃっ…勉さん…?」
麗奈は床に横になっていて、勉は麗奈に覆いかぶさっていた。
「お目覚めですか、お嬢様」
「は、はいっ…!め、目がすっかり覚めました!」
「おはようございます、お嬢様」
「はい、おはようございます…」
愛しい人の寝顔て寝起きを独り占めできた勉は、満足しているようだった。
「朝から情熱的だな」
彰人の声が、上から降ってきた。
螺旋階段から降りてくる彰人が、勉と麗奈を見下ろした。
「彰人様…し、失礼致しました。お見苦しいところを…」
勉は麗奈から離れ、乱れた襟元を直した。一方、押し倒された側の麗奈はというと、先程の出来事で胸がいっぱいになってしまい、動けずにいた。
「いやいや、そのままで結構。麗奈、お前はいつまで床に寝そべってるつもりだ」
彰人にそう言われて我に返ったのか、麗奈は起きようとした。
「起き上がれますか?僕の手に捕まってください」
「はい…」
麗奈は勉の手を取って、ゆっくりと上体を起こした。その様子を見ていた彰人は、明らかに怪しい笑みを浮かべた。それを見た麗奈は、さっと血の気が引くように真っ青な顔をしていた。
「勉くんは麗奈に執心だな。仲が良くて結構」
「お嬢様はとても素敵な女性です。お嬢様と僕が濃厚なお付き合いをさせていただけるということは、感謝してもしきれないことです。今もまだ信じられず、夢が覚めてしまうのではないかと、つい確かめてしまうのです」
「そうかそうか。麗奈を可愛がってやってくれ」
「はい、勿論です」
勉は深く頭を下げた。彰人は階段を登って去っていった。
「僕は今日も貴女を愛でますよ!覚悟してくださいね」
照れながらも頷く麗奈に、理性は崩壊寸前だったが、我慢しなければと、勉は自分に言い聞かせた。麗奈の照れた顔が勉の何よりも好物だということは、麗奈には知る由もなかった。
「ずっと、隣にいてくださったのですね」
勉は、麗奈の手をしっかりと握っている自らの手を見た。麗奈は手を離すことなく、勉の手をずっと握っていたようだ。勉は昨夜のことを思い返していた。
「お嬢様…あの時、僕の手を握ってくださいましたよね?どうしても、僕は気持ちが高ぶってしまいます。勘違いではないと思いたい…。僕とこんな風に寄り添ってくださるということは、つまり…」
勉が独り言を発している間に、麗奈は何度かもぞもぞと動いていた。
「お嬢様?」
起こしてしまったか、と麗奈の様子を伺う勉は、静かに目を開いた麗奈と目が合った。
「あっ…勉さん、おはようございます」
にっこりと微笑む麗奈はなんの悪気もなく、無邪気に勉に笑顔を向けただけだった。しかし、勉には逆効果だった。
「…」
黙って麗奈をじっと見つめる勉の姿に、麗奈は戸惑った。
「勉さん…?どうなさったんですか?」
勉は何も答えず、麗奈の両肩を優しく押して右手を床につけた。
「ひゃっ…勉さん…?」
麗奈は床に横になっていて、勉は麗奈に覆いかぶさっていた。
「お目覚めですか、お嬢様」
「は、はいっ…!め、目がすっかり覚めました!」
「おはようございます、お嬢様」
「はい、おはようございます…」
愛しい人の寝顔て寝起きを独り占めできた勉は、満足しているようだった。
「朝から情熱的だな」
彰人の声が、上から降ってきた。
螺旋階段から降りてくる彰人が、勉と麗奈を見下ろした。
「彰人様…し、失礼致しました。お見苦しいところを…」
勉は麗奈から離れ、乱れた襟元を直した。一方、押し倒された側の麗奈はというと、先程の出来事で胸がいっぱいになってしまい、動けずにいた。
「いやいや、そのままで結構。麗奈、お前はいつまで床に寝そべってるつもりだ」
彰人にそう言われて我に返ったのか、麗奈は起きようとした。
「起き上がれますか?僕の手に捕まってください」
「はい…」
麗奈は勉の手を取って、ゆっくりと上体を起こした。その様子を見ていた彰人は、明らかに怪しい笑みを浮かべた。それを見た麗奈は、さっと血の気が引くように真っ青な顔をしていた。
「勉くんは麗奈に執心だな。仲が良くて結構」
「お嬢様はとても素敵な女性です。お嬢様と僕が濃厚なお付き合いをさせていただけるということは、感謝してもしきれないことです。今もまだ信じられず、夢が覚めてしまうのではないかと、つい確かめてしまうのです」
「そうかそうか。麗奈を可愛がってやってくれ」
「はい、勿論です」
勉は深く頭を下げた。彰人は階段を登って去っていった。
「僕は今日も貴女を愛でますよ!覚悟してくださいね」
照れながらも頷く麗奈に、理性は崩壊寸前だったが、我慢しなければと、勉は自分に言い聞かせた。麗奈の照れた顔が勉の何よりも好物だということは、麗奈には知る由もなかった。