愛は貫くためにある
「僕にとっては、この娘なんですよ」
「ん?どういうことですか?」
美優は佐久間に言った。
「つまり、僕は…この娘にびびっときたんですよ」
「はあ…」
桃もさっぱりわからないと言いたげな顔をしていた。そんな桃の顔を見た青年は、溜息をついた。
「わからないかなあ。僕は、この娘に一目惚れしたんですよ」
「ひとめ…」
美優は目を見開いていた。
「まあ、でもこの娘はそんなこと夢にも思わないんでしょうけど」
青年は、立ち上がって桃と春彦を見た。
「お二人は、この喫茶店を経営なさってるんですよね?」
「ええ、そうだけど」
「お願いがあるんです」
「お願い?」
春彦が聞き返した。
「はい。この娘を、ここで働かせてもらえませんか」
「えっ?いや、うーん…」
春彦は、急にそんなことを言われても、と思い悩んでいる。
「不躾なお願いだとは重々承知しております。ですが…この娘は行くところがないようなので…」
「そうなのか?」
「ええ。目撃者の話では、誰かに追われていてとにかく必死で逃げていたようで。恐らく悪質な人間に追いかけ回されて疲れ果てたんでしょう」
「なるほどな」
春彦は青年にくるりと背を向けた。
「お願いします」
佐久間はこれでもかというくらい頭を下げていた。ずっとずっと頭を下げたままだった。
「顔を上げてくださいな。…わかりました」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
佐久間は笑顔になった。
「あ、あと、皆さんにもう一つだけお願いしたいことがあるんです」
「なんだ?厄介なことか?」
「いえ。簡単なことです」
「簡単なこと?」
美優は何だろう、と佐久間の言葉に耳を傾けた。
「この娘には…僕が助けたということは言わないでください」
「なんでよ」
桃は腕組みをしていた。
「いえ…そんなこと知ったら、たぶん気を使わせてしまうだろうし。僕は一からこの娘と距離を縮めたい」
「んー、そういうことならいいが…」
「ありがとうございます!」
佐久間は深くお辞儀をしてドアの方へ向かった。
「あ!そういえば」
まだあるのか、と春彦は思った。
「たまに様子見に来ます。僕は、ただの客、ってことで」
失礼しました、と佐久間はドアを開けて出ていった。
「ん?どういうことですか?」
美優は佐久間に言った。
「つまり、僕は…この娘にびびっときたんですよ」
「はあ…」
桃もさっぱりわからないと言いたげな顔をしていた。そんな桃の顔を見た青年は、溜息をついた。
「わからないかなあ。僕は、この娘に一目惚れしたんですよ」
「ひとめ…」
美優は目を見開いていた。
「まあ、でもこの娘はそんなこと夢にも思わないんでしょうけど」
青年は、立ち上がって桃と春彦を見た。
「お二人は、この喫茶店を経営なさってるんですよね?」
「ええ、そうだけど」
「お願いがあるんです」
「お願い?」
春彦が聞き返した。
「はい。この娘を、ここで働かせてもらえませんか」
「えっ?いや、うーん…」
春彦は、急にそんなことを言われても、と思い悩んでいる。
「不躾なお願いだとは重々承知しております。ですが…この娘は行くところがないようなので…」
「そうなのか?」
「ええ。目撃者の話では、誰かに追われていてとにかく必死で逃げていたようで。恐らく悪質な人間に追いかけ回されて疲れ果てたんでしょう」
「なるほどな」
春彦は青年にくるりと背を向けた。
「お願いします」
佐久間はこれでもかというくらい頭を下げていた。ずっとずっと頭を下げたままだった。
「顔を上げてくださいな。…わかりました」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
佐久間は笑顔になった。
「あ、あと、皆さんにもう一つだけお願いしたいことがあるんです」
「なんだ?厄介なことか?」
「いえ。簡単なことです」
「簡単なこと?」
美優は何だろう、と佐久間の言葉に耳を傾けた。
「この娘には…僕が助けたということは言わないでください」
「なんでよ」
桃は腕組みをしていた。
「いえ…そんなこと知ったら、たぶん気を使わせてしまうだろうし。僕は一からこの娘と距離を縮めたい」
「んー、そういうことならいいが…」
「ありがとうございます!」
佐久間は深くお辞儀をしてドアの方へ向かった。
「あ!そういえば」
まだあるのか、と春彦は思った。
「たまに様子見に来ます。僕は、ただの客、ってことで」
失礼しました、と佐久間はドアを開けて出ていった。