愛は貫くためにある
「ごめんなさい…」
「もう会わないことね」
麗華はそう言って去っていった。
麗蘭は、外をふらふらと歩いた。
麗蘭は、和哉に会うことをぱたりとやめてしまった。和哉を忘れようとするも、なかなか忘れることが出来ず苦しんでいた。忘れようと思えば思うほど、和哉の顔が浮かんでくる。麗蘭は、部屋で一人、涙を流した。
「麗蘭ちゃん、だめよ。食べなきゃ」
「ごめんなさい、なんか、食欲無い」
「食べちゃうよ、いいの?」
美優が、麗蘭を見て言った。
美優は、春彦たちと朝食をカフェ・テリーヌで食べていた。
「みゆ姉、食べて」
そう言って、麗蘭はすぐに部屋に入っていってしまった。
「麗蘭ちゃん、すごく痩せちゃったね。ただでさえ痩せてるのに」
美優が牛乳を飲みながら言った。
「ああ、佐久間さんに会わなくなってからだな」
「そうねえ、心配…」
桃はうーん、と唸った。
「佐久間さんは来てないの?」
「そうなんだよ、みーちゃん。最近来てなくてな」
「そうなんだ…」
美優は俯いた。
麗蘭は殻に閉じこもったきり、出てくることは無かった。そんな中、久しぶりに和哉が訪れた。いつもの、閉店時間間際に。
「お久しぶりです、みなさん!」
「あら、お久しぶりね」
「桃さん、あの、麗蘭ちゃんは」
「…それは」
桃の顔がこわばった。
「どうしたんです?」
「麗蘭ちゃんは、なかなか部屋から出てこない」
「出て、来ない…」
「あら。それは?」
「ああ、僕、麗蘭ちゃんに絵を見せたんです。でも、すぐに突き返されて。だから…麗蘭ちゃんの目が輝くような絵を描きたいなと」
そう言って、和哉は鞄からスケッチブックと色鉛筆を取り出した。
「本当は、絵の具で塗りたいなと思ったりしたんですけど、色鉛筆でもいいかなって」
和哉はスケッチブックの絵に色を足していった。
「あら!素敵じゃない」
桃が声を上げた。
「そうですかね」
「ああ。これなら、麗蘭ちゃん喜ぶな」
和哉は微笑みながら、絵に色を塗っていく。何度も重ね塗りを繰り返し、完成したのは三時間後。
「できたー!」
「お疲れ様、佐久間さん。はい、これ」
「あ、ありがとうございます!」
和哉は、桃から紅茶をもらった。
「いつから書いたんだ?」
「あー、麗蘭ちゃんに…雲の上の人だって言われた日からですね」
「それじゃあ…だいぶ前ね?」
「ええ。麗蘭ちゃんと仲直りしたいし、僕は麗蘭ちゃんを振り向かせたい」
和哉は、眩しい色を放った絵を黙って見つめていた。
「もう会わないことね」
麗華はそう言って去っていった。
麗蘭は、外をふらふらと歩いた。
麗蘭は、和哉に会うことをぱたりとやめてしまった。和哉を忘れようとするも、なかなか忘れることが出来ず苦しんでいた。忘れようと思えば思うほど、和哉の顔が浮かんでくる。麗蘭は、部屋で一人、涙を流した。
「麗蘭ちゃん、だめよ。食べなきゃ」
「ごめんなさい、なんか、食欲無い」
「食べちゃうよ、いいの?」
美優が、麗蘭を見て言った。
美優は、春彦たちと朝食をカフェ・テリーヌで食べていた。
「みゆ姉、食べて」
そう言って、麗蘭はすぐに部屋に入っていってしまった。
「麗蘭ちゃん、すごく痩せちゃったね。ただでさえ痩せてるのに」
美優が牛乳を飲みながら言った。
「ああ、佐久間さんに会わなくなってからだな」
「そうねえ、心配…」
桃はうーん、と唸った。
「佐久間さんは来てないの?」
「そうなんだよ、みーちゃん。最近来てなくてな」
「そうなんだ…」
美優は俯いた。
麗蘭は殻に閉じこもったきり、出てくることは無かった。そんな中、久しぶりに和哉が訪れた。いつもの、閉店時間間際に。
「お久しぶりです、みなさん!」
「あら、お久しぶりね」
「桃さん、あの、麗蘭ちゃんは」
「…それは」
桃の顔がこわばった。
「どうしたんです?」
「麗蘭ちゃんは、なかなか部屋から出てこない」
「出て、来ない…」
「あら。それは?」
「ああ、僕、麗蘭ちゃんに絵を見せたんです。でも、すぐに突き返されて。だから…麗蘭ちゃんの目が輝くような絵を描きたいなと」
そう言って、和哉は鞄からスケッチブックと色鉛筆を取り出した。
「本当は、絵の具で塗りたいなと思ったりしたんですけど、色鉛筆でもいいかなって」
和哉はスケッチブックの絵に色を足していった。
「あら!素敵じゃない」
桃が声を上げた。
「そうですかね」
「ああ。これなら、麗蘭ちゃん喜ぶな」
和哉は微笑みながら、絵に色を塗っていく。何度も重ね塗りを繰り返し、完成したのは三時間後。
「できたー!」
「お疲れ様、佐久間さん。はい、これ」
「あ、ありがとうございます!」
和哉は、桃から紅茶をもらった。
「いつから書いたんだ?」
「あー、麗蘭ちゃんに…雲の上の人だって言われた日からですね」
「それじゃあ…だいぶ前ね?」
「ええ。麗蘭ちゃんと仲直りしたいし、僕は麗蘭ちゃんを振り向かせたい」
和哉は、眩しい色を放った絵を黙って見つめていた。