愛は貫くためにある
拓真は、和哉の言われた通り、カフェ・テリーヌに20時に着いた。
カランコロンと音が鳴り、ドアを開けた。
「あっ、かずく…」
麗蘭は、はっとした。
「拓真さん…?どうしてここに」
麗蘭の目は一瞬輝いたが、拓真だと知って残念そうな顔をした。
(やっぱり、麗蘭は…あの画家が好きなんだな…僕のでる幕はない…)
「拓真さん?」
麗蘭が、拓真に駆け寄って顔を覗きこんだ。
「麗蘭…ごめんな」
「何がですか?」
麗蘭の瞼は、相当泣いたのか腫れていた。
「まだ、好きなんだろう。あいつのこと」
「そんな、そんなこと…」
「本当にごめん。僕が…麗蘭と彼氏との仲を引き裂いたんだよな」
「拓真さん…」
麗蘭は何も言わなかった。
「謝って済むわけじゃないってわかってるんだけど…」
「拓真さん、ほら。座って」
桃が言った。
「あっ、はい。ありがとうございます」
麗蘭は、拓真の隣に座った。
「まだ好きなんだろ?彼氏のこと」
「そんなことありません」
「いや、麗蘭はまだあいつのことが好きなんだよ」
拓真は、深い溜息をついて言った。
「麗蘭。あの時の約束、覚えてるよな?」
「覚えてますよ」
「その約束…」
「いやです!」
「麗蘭?」
麗蘭が、きっぱりと言った。
(まだ何も言ってないだろう、麗蘭?)
「約束を無効にするだなんて、わたし許さない」
「麗蘭…?」
麗蘭は、拓真をじっと見て言った。
「いやです。今更、そんな約束無効にしようだなんて、そんなの、嫌です。そんなの、許しません」
「でもな、悲しいだろ?あいつと別れるのは。別れたくなんかなかっただろ?でも、…麗蘭を離したくないって思った。自分だけのものにしたいって思った」
略奪みたいな真似してごめんな、と拓真は言った。
「わたし、本当はね、ずっと待っていたんです。拓真さんが迎えに来てくれるの。でも、待ちくたびれちゃって」
(そうだよな。十年なんて、長すぎるもんな。不確実な約束よりも、近くにいる優しい奴に目がいくのは仕方ないよな)
「かずく…和哉さんは、倒れていたわたしを助けてくれたんです。だから、命の恩人だと思っていろいろと話していたら、だんだんと…」
「そうか」
「…怒ってますか?拓真さん」
「怒ってない。あいつ、良い奴だもんな」
少し話しただけでもよくわかった。
特に、麗蘭をどれだけ愛しているのかということは嫌というほど伝わってきた。
「あいつのとこに行けよ」
「拓真さん…?」
「今ならまだ間に合うぞ。あいつのところへ行くなら今だ。行け」
拓真は、麗蘭の背を押しドアまで着いて行った。
しかし、麗蘭は拓真に抱きついた。
「麗蘭?何をしている?あいつのところに…」
「いやです。わたし、もう拓真さんから離れない」
「何を言ってるんだよ。怖いんだろ、僕が」
「違うんです」
「何が違う?あの時逃げただろ?」
麗蘭をホテルに連れ込んで抱きしめた時、麗蘭はあまりの恐ろしさに泣き出してしまい、拓真の隙を狙って逃げ出したのだ。
(どう説明する?麗蘭)
拓真は麗蘭を見つめた。
カランコロンと音が鳴り、ドアを開けた。
「あっ、かずく…」
麗蘭は、はっとした。
「拓真さん…?どうしてここに」
麗蘭の目は一瞬輝いたが、拓真だと知って残念そうな顔をした。
(やっぱり、麗蘭は…あの画家が好きなんだな…僕のでる幕はない…)
「拓真さん?」
麗蘭が、拓真に駆け寄って顔を覗きこんだ。
「麗蘭…ごめんな」
「何がですか?」
麗蘭の瞼は、相当泣いたのか腫れていた。
「まだ、好きなんだろう。あいつのこと」
「そんな、そんなこと…」
「本当にごめん。僕が…麗蘭と彼氏との仲を引き裂いたんだよな」
「拓真さん…」
麗蘭は何も言わなかった。
「謝って済むわけじゃないってわかってるんだけど…」
「拓真さん、ほら。座って」
桃が言った。
「あっ、はい。ありがとうございます」
麗蘭は、拓真の隣に座った。
「まだ好きなんだろ?彼氏のこと」
「そんなことありません」
「いや、麗蘭はまだあいつのことが好きなんだよ」
拓真は、深い溜息をついて言った。
「麗蘭。あの時の約束、覚えてるよな?」
「覚えてますよ」
「その約束…」
「いやです!」
「麗蘭?」
麗蘭が、きっぱりと言った。
(まだ何も言ってないだろう、麗蘭?)
「約束を無効にするだなんて、わたし許さない」
「麗蘭…?」
麗蘭は、拓真をじっと見て言った。
「いやです。今更、そんな約束無効にしようだなんて、そんなの、嫌です。そんなの、許しません」
「でもな、悲しいだろ?あいつと別れるのは。別れたくなんかなかっただろ?でも、…麗蘭を離したくないって思った。自分だけのものにしたいって思った」
略奪みたいな真似してごめんな、と拓真は言った。
「わたし、本当はね、ずっと待っていたんです。拓真さんが迎えに来てくれるの。でも、待ちくたびれちゃって」
(そうだよな。十年なんて、長すぎるもんな。不確実な約束よりも、近くにいる優しい奴に目がいくのは仕方ないよな)
「かずく…和哉さんは、倒れていたわたしを助けてくれたんです。だから、命の恩人だと思っていろいろと話していたら、だんだんと…」
「そうか」
「…怒ってますか?拓真さん」
「怒ってない。あいつ、良い奴だもんな」
少し話しただけでもよくわかった。
特に、麗蘭をどれだけ愛しているのかということは嫌というほど伝わってきた。
「あいつのとこに行けよ」
「拓真さん…?」
「今ならまだ間に合うぞ。あいつのところへ行くなら今だ。行け」
拓真は、麗蘭の背を押しドアまで着いて行った。
しかし、麗蘭は拓真に抱きついた。
「麗蘭?何をしている?あいつのところに…」
「いやです。わたし、もう拓真さんから離れない」
「何を言ってるんだよ。怖いんだろ、僕が」
「違うんです」
「何が違う?あの時逃げただろ?」
麗蘭をホテルに連れ込んで抱きしめた時、麗蘭はあまりの恐ろしさに泣き出してしまい、拓真の隙を狙って逃げ出したのだ。
(どう説明する?麗蘭)
拓真は麗蘭を見つめた。