愛は貫くためにある
戻れることなら、四年前に戻りたい。君が消える前まで、時間を巻き戻したい。
時間を巻き戻せたのなら、僕が真っ先にすることはただ一つ。
君を腕の中に閉じ込めて、離さないこと。そして、君を信じることができなかったことを詫びたい。けれど、それは叶わないんだよね。君は今…どこにいるの?
「どういうことか説明しろ、由美」
僕は、怒りの感情を由美にぶつけていた。
「ま、守兄さん…」
優子の目は泳いでいた。
「今更言ったって無駄よ。だって美優はもういないんだもの」
「ちゃんと説明しろ!」
僕は普段出さない怒鳴り声を上げた。と同時に、優子の肩がぴくりと跳ねた。
「美優を追い出したのは、私達よ」
悪びれもせずに言う由美に、僕は腹が立った。
「みーちゃんに恨みでもあるのか」
「ええ、あるわよ?守の心を奪った張本人なんだから」
僕は由美の告白を断った。だから由美は君に牙を剥いたー
そして君は僕の知らないところで、どんどん傷ついていったんだね。
そんなこととは知らずに僕は、君を犯人扱いしてー追い詰めた。
「さっさと出てけばいいと思ったのに」
由美がべらべらと話す一方で、優子は一言も発すことなく俯いている。
悪いのは由美だけじゃない。優子だって由美と共犯だ。
「優子、黙ってないで何か言えよ。みーちゃんとは親友だったのに、
何でみーちゃんを裏切るようなことしたんだ?」
「…」
優子は黙ったままだった。
「悪いのは由美だけじゃない。優子の虚偽の証言がみーちゃんを追い詰めたんだぞ」
「ごめん、なさい…」
ようやく口を開いた優子は、震えた声で言った。
「由美姉さんに、言えって…。でも、出ていくとは思わなかった」
「脅されたのか」
由美の執念深さには恐怖さえ感じる。
「でも、守兄さんも…私達と同じじゃない」
「は…?」
僕は思わず、優子を睨んだ。冗談じゃない。一緒にされてたまるか、と僕は思った。
「守兄さんだって、美優ちゃんを責めてた。謝れって、盗ったんだろって」
僕は、はっとした。一番たちが悪いには、僕なのかもしれない。
君のことを信じようともせず、ただひたすら責めた。
だから君は、僕と口をきくことさえしなくなった。殻に閉じこもって、孤独を友達にした。
そんな君の心を開こうと思っていた矢先に、君は姿を消した。
「何で今なんだよ」
僕は悔しかった。四年前にこの事実を知っていれば、
君を連れ戻すことはできたかもしれない。
いや、少なくとも君を白い目で見る周囲の人達から守ってあげられたかもしれない。
君は、口を閉ざしてしまった。SOSさえ口にせずに。
そんな風にしてしまったのは、僕なんだよね。
「もっと早く、知っていれば…」
君を見つけ出して、また昔のようにしっかりと手を握って同じ景色を見たい。
二度と離しはしない。だから神様。普段は君頼みなんてしないけど、僕の願いを、
一つだけ叶えてください。僕はみーちゃんと再会して、同じ未来を共に歩いていきたい。
僕の幸せは、みーちゃんと生きていくことなんです。みーちゃんに、会わせてください。
僕は諦めません。シンデレラは絶対に、捕まえてみせます、この手で。
だからどうか、お願いします。
この願いが聞き届けられたのは、それから十年後のことだった。
時間を巻き戻せたのなら、僕が真っ先にすることはただ一つ。
君を腕の中に閉じ込めて、離さないこと。そして、君を信じることができなかったことを詫びたい。けれど、それは叶わないんだよね。君は今…どこにいるの?
「どういうことか説明しろ、由美」
僕は、怒りの感情を由美にぶつけていた。
「ま、守兄さん…」
優子の目は泳いでいた。
「今更言ったって無駄よ。だって美優はもういないんだもの」
「ちゃんと説明しろ!」
僕は普段出さない怒鳴り声を上げた。と同時に、優子の肩がぴくりと跳ねた。
「美優を追い出したのは、私達よ」
悪びれもせずに言う由美に、僕は腹が立った。
「みーちゃんに恨みでもあるのか」
「ええ、あるわよ?守の心を奪った張本人なんだから」
僕は由美の告白を断った。だから由美は君に牙を剥いたー
そして君は僕の知らないところで、どんどん傷ついていったんだね。
そんなこととは知らずに僕は、君を犯人扱いしてー追い詰めた。
「さっさと出てけばいいと思ったのに」
由美がべらべらと話す一方で、優子は一言も発すことなく俯いている。
悪いのは由美だけじゃない。優子だって由美と共犯だ。
「優子、黙ってないで何か言えよ。みーちゃんとは親友だったのに、
何でみーちゃんを裏切るようなことしたんだ?」
「…」
優子は黙ったままだった。
「悪いのは由美だけじゃない。優子の虚偽の証言がみーちゃんを追い詰めたんだぞ」
「ごめん、なさい…」
ようやく口を開いた優子は、震えた声で言った。
「由美姉さんに、言えって…。でも、出ていくとは思わなかった」
「脅されたのか」
由美の執念深さには恐怖さえ感じる。
「でも、守兄さんも…私達と同じじゃない」
「は…?」
僕は思わず、優子を睨んだ。冗談じゃない。一緒にされてたまるか、と僕は思った。
「守兄さんだって、美優ちゃんを責めてた。謝れって、盗ったんだろって」
僕は、はっとした。一番たちが悪いには、僕なのかもしれない。
君のことを信じようともせず、ただひたすら責めた。
だから君は、僕と口をきくことさえしなくなった。殻に閉じこもって、孤独を友達にした。
そんな君の心を開こうと思っていた矢先に、君は姿を消した。
「何で今なんだよ」
僕は悔しかった。四年前にこの事実を知っていれば、
君を連れ戻すことはできたかもしれない。
いや、少なくとも君を白い目で見る周囲の人達から守ってあげられたかもしれない。
君は、口を閉ざしてしまった。SOSさえ口にせずに。
そんな風にしてしまったのは、僕なんだよね。
「もっと早く、知っていれば…」
君を見つけ出して、また昔のようにしっかりと手を握って同じ景色を見たい。
二度と離しはしない。だから神様。普段は君頼みなんてしないけど、僕の願いを、
一つだけ叶えてください。僕はみーちゃんと再会して、同じ未来を共に歩いていきたい。
僕の幸せは、みーちゃんと生きていくことなんです。みーちゃんに、会わせてください。
僕は諦めません。シンデレラは絶対に、捕まえてみせます、この手で。
だからどうか、お願いします。
この願いが聞き届けられたのは、それから十年後のことだった。