愛は貫くためにある
夜の街を探し回ったが、麗蘭を見つけることは出来なかった。
「麗蘭……どこに、いる…」
拓真は走り疲れて、公園のベンチに座り込んだ。
「わ、若……ちょ、速いっすよ…」
大知が息を切らして拓真のもとへと駆け寄った。
「わ、若…まじ…足速いっす…俺らのことも考えてくれたって…いいじゃないっすか…」
健も息が切れていて、へなへなとベンチに座った。
「ひ、日頃の鍛錬が…なってないんだよ、お前らは」
「い、いや…そういう若も…息切れてんじゃないっすか…」
健が呼吸を落ち着かせながら言った。
「これだけ探しても…いないってことは、…どういうことっすかね」
大知が肩で息をしながら言った。
麗蘭は、カフェ・テリーヌにも元彼の佐久間のところにもいなかった。父親のところにもいなかったし、他に行くところなど、どこにもないはずだ。
しかし麗蘭は見つからない。
拓真は頭を悩ませていた。
「れ、麗蘭……」
拓真は夜空を見上げた。
「あ、」
「若?」
健が拓真の視線を目で追った。
「綺麗っすね、夜空!」
大知が叫んだ。
「ああ、綺麗だ。麗蘭みたいだ」
「若…」
健は地面を見つめた。
「綺麗で優しくて…儚い…感じ…」
「わ、若…」
大知が拳をにぎりしめた。
「儚いから綺麗なのかな」
拓真がぽつりと言った。
「な、何言ってんすか…」
大知が拓真を揺さぶった。
「僕は、麗蘭を壊してしまったのかもしれない。麗蘭は、僕の中で、散ってしまったのかもしれない」
拓真はきらりと光る、夜空の白い星を見て涙を零した。
「麗蘭……」
拓真は、その星へ向かって手を伸ばすが、もちろん届きはしない。
「まるで、僕と麗蘭の距離みたいだな……こんなに、遠いのか…」
拓真の涙は止まらなかった。
「ああああ!麗蘭姉さああああああああぁ〜ん…!!」
大知が思い切り叫ぶから、拓真は大知の頭を叩いた。
「いってえ〜。久しぶりに若の拳が飛んできましたよ。久しぶりっすよおお〜」
「大知、うるさい。少し黙れ」
拓真が涙声で言うから、大知はすいません、と謝って俯いた。
「麗蘭、姉さん…何を言おうとしてたんすかね」
健は、夜空の白い光を見つめながら言った。



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