愛は貫くためにある
「髪を切ったのはいつだ?この髪色にしたのは?」
拓真から矢継ぎ早に質問攻めに合う。
しかし麗蘭は嬉しかった。
『冥界から、こっちの世界に来る時に…掟を破ることになるから、髪を切られたの。髪もピンクに染められて』
「掟?」
『うん。蘭子さんと人生を交換したいって神様にお願いして、聞き届けてもらえて冥界に住まわせてもらったんだけど』
なぜ蘭ちゃんと交換しようだなんて思った?と、拓真は麗蘭に迫った。
『だって、蘭子さんといた方が拓真さん幸せそうだったから』
拓真は、麗蘭の頬を両手で包んだ。
「ごめんな。つらかったよな」
『ううん。わたしこそ、拓真さんを苦しめてしまってごめんなさい』
麗蘭が謝ることは無い、と拓真は麗蘭を見つめながら言った。
『お前は、冥界に来るのは百年早いって』
「言われたのか?」
『うん。神様にそう言われて。冥界からこっちの世界に抜けるとなると、掟破りだってことになるから、罰として髪を短く切られて、髪もピンクに染められたの』
拓真は、麗蘭の短くなった髪に触れた。ピンク色の髪を何度も指で拓真は梳いた。
「こんなに短く……」
やっぱり、短いのは嫌ですか、と麗蘭が目を伏せたので拓真は麗蘭の顎をくいと持ち上げた。
「誰が嫌だと言った?似合ってるよ。ショートヘアも…ピンク色の髪も」
拓真は全部ピンクに染った麗蘭の髪を指に絡めた。
『声は、もう二度と出せないから覚悟しなさいって言われたの』
「そんな…」
拓真は、今にも泣きだしそうな顔をしていた。
『手も、ほとんど動かせないし』
「いいんだよ。僕が、エスコートするから。麗蘭のためなら、なんだってするよ」
『ふふっ、頼もしいですね、拓真さん』
麗蘭が、笑った。
肩を少しだけ揺らして、麗蘭が曇りのない笑顔を拓真に向けた。
拓真は、嬉しくて涙が止まらなかった。
嬉し涙。
拓真はこの時を、ずっと待っていたのだ。それが、それが今日、今この時ー
「麗蘭…おかえり…おかえりっ……」
拓真は麗蘭に顔を近づけた。
拓真の顔は涙でくしゃくしゃだったが、麗蘭の顔は満面の笑みだった。
『ただいま、拓真さん。ただいま。
待たせてしまった分、拓真さんに恩返しします』
「消えるなよ。恩返ししなくていいから、ずっとそばにいろ」
『それは…』
「命令だ。僕の傍にずっといろ」
『はい、拓真さん』
麗蘭は拓真の胸に擦り寄った。
蘭子が、その様子を遠くで見ていた。
「よかったね、麗蘭ちゃん。たっくんと、幸せにね」
そう言って、蘭子の姿はだんだんと薄れていき、消えていった。
拓真から矢継ぎ早に質問攻めに合う。
しかし麗蘭は嬉しかった。
『冥界から、こっちの世界に来る時に…掟を破ることになるから、髪を切られたの。髪もピンクに染められて』
「掟?」
『うん。蘭子さんと人生を交換したいって神様にお願いして、聞き届けてもらえて冥界に住まわせてもらったんだけど』
なぜ蘭ちゃんと交換しようだなんて思った?と、拓真は麗蘭に迫った。
『だって、蘭子さんといた方が拓真さん幸せそうだったから』
拓真は、麗蘭の頬を両手で包んだ。
「ごめんな。つらかったよな」
『ううん。わたしこそ、拓真さんを苦しめてしまってごめんなさい』
麗蘭が謝ることは無い、と拓真は麗蘭を見つめながら言った。
『お前は、冥界に来るのは百年早いって』
「言われたのか?」
『うん。神様にそう言われて。冥界からこっちの世界に抜けるとなると、掟破りだってことになるから、罰として髪を短く切られて、髪もピンクに染められたの』
拓真は、麗蘭の短くなった髪に触れた。ピンク色の髪を何度も指で拓真は梳いた。
「こんなに短く……」
やっぱり、短いのは嫌ですか、と麗蘭が目を伏せたので拓真は麗蘭の顎をくいと持ち上げた。
「誰が嫌だと言った?似合ってるよ。ショートヘアも…ピンク色の髪も」
拓真は全部ピンクに染った麗蘭の髪を指に絡めた。
『声は、もう二度と出せないから覚悟しなさいって言われたの』
「そんな…」
拓真は、今にも泣きだしそうな顔をしていた。
『手も、ほとんど動かせないし』
「いいんだよ。僕が、エスコートするから。麗蘭のためなら、なんだってするよ」
『ふふっ、頼もしいですね、拓真さん』
麗蘭が、笑った。
肩を少しだけ揺らして、麗蘭が曇りのない笑顔を拓真に向けた。
拓真は、嬉しくて涙が止まらなかった。
嬉し涙。
拓真はこの時を、ずっと待っていたのだ。それが、それが今日、今この時ー
「麗蘭…おかえり…おかえりっ……」
拓真は麗蘭に顔を近づけた。
拓真の顔は涙でくしゃくしゃだったが、麗蘭の顔は満面の笑みだった。
『ただいま、拓真さん。ただいま。
待たせてしまった分、拓真さんに恩返しします』
「消えるなよ。恩返ししなくていいから、ずっとそばにいろ」
『それは…』
「命令だ。僕の傍にずっといろ」
『はい、拓真さん』
麗蘭は拓真の胸に擦り寄った。
蘭子が、その様子を遠くで見ていた。
「よかったね、麗蘭ちゃん。たっくんと、幸せにね」
そう言って、蘭子の姿はだんだんと薄れていき、消えていった。