愛は貫くためにある
『ごめんなさい』
麗蘭が、頭を下げた。
「なぜ謝る?」
拓真は麗蘭の左手を握った。
『だって、もうお昼になっちゃう』
麗蘭は、お昼近くまでぐっすりと寝てしまい朝ごはんを食べられていないことに申し訳なさを感じていた。
「麗蘭、そんなことは気にしなくていい」
『でも…』
麗蘭は俯いた。
「お粥しか食べれなさそう?」
麗蘭は首を縦に振った。
「そうか…まだ、お粥しか食べれないのか」
拓真は溜息をついた。
粥だけでは、なかなか栄養がつかない。少しでも滋養のあるものを摂らなければ、ただでさえ弱っている麗蘭の体は更に弱ってしまう。拓真は悩んでいた。
「姐御!鮭粥作ったっすよ!」
大知が粥を手に持って麗蘭の居る部屋へ戻ってきた。
『ありがとう、大知さん』
粥はまだ温かいようで、少し湯気が出ていた。
「姐御!俺、たっぷりの愛情を込めて作って…いてててててててっ!若、いたい。いたいっす、わああああ〜〜!」
大知が持っていた粥を小さな丸テーブルに置いた拓真は、大知の耳を引っ張ったあと、拓真の胸ぐらを掴んで壁へ押し付けた。大知は震え上がり、悲鳴をあげていた。そんな拓真を見て、麗蘭はゆっくりとベッドから降り、拓真に近づいた。
大知が、拓真に近づく麗蘭に気づいたが、『ひ、み、つ』と麗蘭が口を動かすのを見て、大知は知らないふりをした。
「大知……愛情を込めて作ったとはどういうことだ?僕の麗蘭を奪おうってか?」
「ぐっ……若、苦しいっす」
「答えろ」
「俺は…若の姐御を尊敬しているだけでそんなこと、全く考えてないっす!」
「ふうん…本当だな?」
「はいっ!それより、若」
何だ、と不機嫌な顔をする拓真を見て大知は笑った。
「何がおかしい?」
「若は幸せっすねえ。姐御にとても愛されて」
「は?」
にやにやと笑う大知をよそに、麗蘭は拓真の腰に右手で優しく触れた。
「……うお、っ…え、麗蘭…?」
「へへへへっ、いやあー、これで俺は失礼します。若、あとで教えてくださいねえ〜?」
大知はそう言ってへらへらと笑いながら部屋を出ていった。
「あいつ…覚えてろよ」
拓真がそう言うと、麗蘭は拓真の背中に顔と体をくっつけた。
「…っ、れ、麗蘭…?どうした?」
拓真は、麗蘭の手が自分の腰に触れていることに気づき、ただただ驚いていた。麗蘭がそのようなことをするとは、思っていなかったのだ。
ましてや、麗蘭の手は動かないはずだ。
「麗蘭、こっち向いてもいいか?」
麗蘭の方を向くと、麗蘭は顔を赤くしながらも拓真の腰に添えていた手を離した。
「麗蘭…今、手を…」
『動かしたの』
「動かないんじゃ…」
『頑張れば、動かせるの。少しだけだけど、ほら、動くの』
「頑張らなくていい。無理するな」
だって、と麗蘭が口を尖らせた。
『拓真さんにもっと触れたい』
麗蘭は、拓真をじっと見つめて右手を再び伸ばした。拓真は麗蘭の目の前にいる。
『羨ましかったの』
「羨ましい?何がだ?」
拓真は首を傾げた。
麗蘭は震える右手を伸ばし、ゆっくりと拓真の手を握ろうとするも、拓真の手には届かない。
『う……もう、少し』
(麗蘭……なぜそんなに、無理をする?
無理せずとも、僕はここにいる。
麗蘭をエスコートすると、言っただろ?麗蘭)
拓真は、麗蘭の両手を自分の両手と絡めた。
『あ……拓真さんの手…』
麗蘭は微笑んだ。
麗蘭が、頭を下げた。
「なぜ謝る?」
拓真は麗蘭の左手を握った。
『だって、もうお昼になっちゃう』
麗蘭は、お昼近くまでぐっすりと寝てしまい朝ごはんを食べられていないことに申し訳なさを感じていた。
「麗蘭、そんなことは気にしなくていい」
『でも…』
麗蘭は俯いた。
「お粥しか食べれなさそう?」
麗蘭は首を縦に振った。
「そうか…まだ、お粥しか食べれないのか」
拓真は溜息をついた。
粥だけでは、なかなか栄養がつかない。少しでも滋養のあるものを摂らなければ、ただでさえ弱っている麗蘭の体は更に弱ってしまう。拓真は悩んでいた。
「姐御!鮭粥作ったっすよ!」
大知が粥を手に持って麗蘭の居る部屋へ戻ってきた。
『ありがとう、大知さん』
粥はまだ温かいようで、少し湯気が出ていた。
「姐御!俺、たっぷりの愛情を込めて作って…いてててててててっ!若、いたい。いたいっす、わああああ〜〜!」
大知が持っていた粥を小さな丸テーブルに置いた拓真は、大知の耳を引っ張ったあと、拓真の胸ぐらを掴んで壁へ押し付けた。大知は震え上がり、悲鳴をあげていた。そんな拓真を見て、麗蘭はゆっくりとベッドから降り、拓真に近づいた。
大知が、拓真に近づく麗蘭に気づいたが、『ひ、み、つ』と麗蘭が口を動かすのを見て、大知は知らないふりをした。
「大知……愛情を込めて作ったとはどういうことだ?僕の麗蘭を奪おうってか?」
「ぐっ……若、苦しいっす」
「答えろ」
「俺は…若の姐御を尊敬しているだけでそんなこと、全く考えてないっす!」
「ふうん…本当だな?」
「はいっ!それより、若」
何だ、と不機嫌な顔をする拓真を見て大知は笑った。
「何がおかしい?」
「若は幸せっすねえ。姐御にとても愛されて」
「は?」
にやにやと笑う大知をよそに、麗蘭は拓真の腰に右手で優しく触れた。
「……うお、っ…え、麗蘭…?」
「へへへへっ、いやあー、これで俺は失礼します。若、あとで教えてくださいねえ〜?」
大知はそう言ってへらへらと笑いながら部屋を出ていった。
「あいつ…覚えてろよ」
拓真がそう言うと、麗蘭は拓真の背中に顔と体をくっつけた。
「…っ、れ、麗蘭…?どうした?」
拓真は、麗蘭の手が自分の腰に触れていることに気づき、ただただ驚いていた。麗蘭がそのようなことをするとは、思っていなかったのだ。
ましてや、麗蘭の手は動かないはずだ。
「麗蘭、こっち向いてもいいか?」
麗蘭の方を向くと、麗蘭は顔を赤くしながらも拓真の腰に添えていた手を離した。
「麗蘭…今、手を…」
『動かしたの』
「動かないんじゃ…」
『頑張れば、動かせるの。少しだけだけど、ほら、動くの』
「頑張らなくていい。無理するな」
だって、と麗蘭が口を尖らせた。
『拓真さんにもっと触れたい』
麗蘭は、拓真をじっと見つめて右手を再び伸ばした。拓真は麗蘭の目の前にいる。
『羨ましかったの』
「羨ましい?何がだ?」
拓真は首を傾げた。
麗蘭は震える右手を伸ばし、ゆっくりと拓真の手を握ろうとするも、拓真の手には届かない。
『う……もう、少し』
(麗蘭……なぜそんなに、無理をする?
無理せずとも、僕はここにいる。
麗蘭をエスコートすると、言っただろ?麗蘭)
拓真は、麗蘭の両手を自分の両手と絡めた。
『あ……拓真さんの手…』
麗蘭は微笑んだ。