愛は貫くためにある
第4章 絡まり合う愛の思惑
再会と新たな恋
最近、大知は機嫌が良い。
鼻歌を歌いながら、小松菜をしゃきしゃきと切っている。
(最近機嫌が良いのはいいが…一体何があったんだ?)
拓真は大知の変化にいち早く気づいたが、大知に機嫌の良い理由を聞いても答えずじまいだった。
『大知さん、楽しそうね』
麗蘭が微笑んだ。
「ああ、そうだな。すごく楽しそうだ」
拓真は、微笑む麗蘭を見て笑った。
野菜を優しく丁寧に扱う大知を見て、とても優しい人なんだな、と麗蘭は思った。
「いってえ…!」
大知が包丁で指を切ってしまった。
麗蘭は驚いて大知に駆け寄った。
『大丈夫?』
「姐御〜痛いっすよ〜!」
そう大知が麗蘭に甘えると、拓真が大知に駆け寄り出血している指を掴んだ。
「いった!いたいっす、若!」
「こんな軽い怪我で喚くな。大したことないだろ」
「だってえええ」
「消毒して絆創膏張れ。それくらいできるよな」
「姐御おおお〜」
大知が大袈裟に麗蘭に抱きつくから、拓真はますます不機嫌になる。
眉間に皺がより、大知を睨みつけた拓真に、大知は怯えた。
「離れろ。麗蘭から離れろ」
「姐御おおお〜、若がまじ冷たいっす!何とか言ってくださいよ〜」
「大知…お前な…」
拓真が拳を振りあげようとした時、麗蘭が拓真の目の前に立ち塞がった。
『拓真さん、お願い。大知さんを許してあげて。優しくしてあげて。お願いします』
麗蘭は頭を下げた。
「れ、麗蘭…やめろって…。はあ……わかった、わかったよ。大知、さっさと料理の続きしろ」
「姐御おおお!さすがっす!若は姐御の言うことだけは聞くっす!」
おおおおお、と叫びながら大知は再び手を動かした。大知は料理が好きなようで、自分の作った料理を喜んで食べてくれるお客様を見るのが好きだ、と言っていたことを麗蘭は思い出した。
(大知さんは、優しくて真面目な人なんだなあ…)
麗蘭はそう思いながら、大知が怪我をしないか気が気でない様子で見守っていた。
「そろそろ教えろ、大知」
「何がっすか?」
大知が首をかしげた。
『最近、機嫌が良い理由』
わたしも知りたい、と麗蘭が大知を見て言った。
「えっ、あー、いやその…恥ずかしいっすよ」
「大知、早く言え」
拓真の低い声にぶるっと身震いした大知はこくこくと頷いて話し出した。
「俺、好きな子ができたんです」
『わあ、おめでとう!』
麗蘭はにこにこしていた。
「ふーん、で?」
「若、冷たい…」
大知は、しゅんとして俯いた。
まるで、拗ねている子犬みたいだ。
「いちいち拗ねんな。めんどくせえ。で?その子とは上手くいってんの?」
「いや……その子とはしょっちゅう会う訳じゃなくて…偶然何度か会ったことがあって。優しくて素敵なお嬢さんだなーって」
「鼻の下伸ばすな」
拓真は大知をぴしっと叩いた。
「いって……で、その子は俺よりは少し年下みたいで。話してたらすごく楽しくって」
「ふーん、じゃあ、良い感じなんじゃねえの?」
「いや…そうとも言いきれないんすよ」
どういうこと?と、麗蘭が尋ねた。
「俺の話を、目をキラキラさせて聞いてくれるけど…その人はお嬢さんで、婚約者もいるとか…」
大知は切なげな顔で、静かに笑った。
麗蘭は、切ない顔の大知を見ることが出来ずに、目を背けた。
鼻歌を歌いながら、小松菜をしゃきしゃきと切っている。
(最近機嫌が良いのはいいが…一体何があったんだ?)
拓真は大知の変化にいち早く気づいたが、大知に機嫌の良い理由を聞いても答えずじまいだった。
『大知さん、楽しそうね』
麗蘭が微笑んだ。
「ああ、そうだな。すごく楽しそうだ」
拓真は、微笑む麗蘭を見て笑った。
野菜を優しく丁寧に扱う大知を見て、とても優しい人なんだな、と麗蘭は思った。
「いってえ…!」
大知が包丁で指を切ってしまった。
麗蘭は驚いて大知に駆け寄った。
『大丈夫?』
「姐御〜痛いっすよ〜!」
そう大知が麗蘭に甘えると、拓真が大知に駆け寄り出血している指を掴んだ。
「いった!いたいっす、若!」
「こんな軽い怪我で喚くな。大したことないだろ」
「だってえええ」
「消毒して絆創膏張れ。それくらいできるよな」
「姐御おおお〜」
大知が大袈裟に麗蘭に抱きつくから、拓真はますます不機嫌になる。
眉間に皺がより、大知を睨みつけた拓真に、大知は怯えた。
「離れろ。麗蘭から離れろ」
「姐御おおお〜、若がまじ冷たいっす!何とか言ってくださいよ〜」
「大知…お前な…」
拓真が拳を振りあげようとした時、麗蘭が拓真の目の前に立ち塞がった。
『拓真さん、お願い。大知さんを許してあげて。優しくしてあげて。お願いします』
麗蘭は頭を下げた。
「れ、麗蘭…やめろって…。はあ……わかった、わかったよ。大知、さっさと料理の続きしろ」
「姐御おおお!さすがっす!若は姐御の言うことだけは聞くっす!」
おおおおお、と叫びながら大知は再び手を動かした。大知は料理が好きなようで、自分の作った料理を喜んで食べてくれるお客様を見るのが好きだ、と言っていたことを麗蘭は思い出した。
(大知さんは、優しくて真面目な人なんだなあ…)
麗蘭はそう思いながら、大知が怪我をしないか気が気でない様子で見守っていた。
「そろそろ教えろ、大知」
「何がっすか?」
大知が首をかしげた。
『最近、機嫌が良い理由』
わたしも知りたい、と麗蘭が大知を見て言った。
「えっ、あー、いやその…恥ずかしいっすよ」
「大知、早く言え」
拓真の低い声にぶるっと身震いした大知はこくこくと頷いて話し出した。
「俺、好きな子ができたんです」
『わあ、おめでとう!』
麗蘭はにこにこしていた。
「ふーん、で?」
「若、冷たい…」
大知は、しゅんとして俯いた。
まるで、拗ねている子犬みたいだ。
「いちいち拗ねんな。めんどくせえ。で?その子とは上手くいってんの?」
「いや……その子とはしょっちゅう会う訳じゃなくて…偶然何度か会ったことがあって。優しくて素敵なお嬢さんだなーって」
「鼻の下伸ばすな」
拓真は大知をぴしっと叩いた。
「いって……で、その子は俺よりは少し年下みたいで。話してたらすごく楽しくって」
「ふーん、じゃあ、良い感じなんじゃねえの?」
「いや…そうとも言いきれないんすよ」
どういうこと?と、麗蘭が尋ねた。
「俺の話を、目をキラキラさせて聞いてくれるけど…その人はお嬢さんで、婚約者もいるとか…」
大知は切なげな顔で、静かに笑った。
麗蘭は、切ない顔の大知を見ることが出来ずに、目を背けた。