愛は貫くためにある
いつものように、大知はレストランの前の庭で花の世話をしながら土いじりをしていた。
(あの川橋って奴と麗奈ちゃん…お似合いだよな)
そう思いながらしゃがみ込んで茶色い土を黙って見つめていると、頭上が暗くなった。
(ん…?雨が降るのか?)
しかし、空は青く晴れ渡っている。
「大知さ〜んっ」
声の主は、大知のそばに立つ麗奈だった。麗奈は大知と目が合うと、気恥しそうに目を逸らした。麗奈の近くには勉が立っていて、不機嫌そうに大知と麗奈の様子を見ていた。
大知は、すっと立ち上がった。麗奈は驚いて目を瞬かせた。大知は麗奈に背を向け、すたすたと奥へ行ってしまった。
「大知さん…?」
麗奈はしゅんとして、その場に座り込んでしまった。
しばらくすると、大知は戻ってきた。
「あっ、大知さん…!」
麗奈は、ぱあっと明るい笑顔を大知に向けた。すっくと立ち上がったかと思うと、麗奈は大知の方へ突進してきた。しかし、予想に反して麗奈は傾き始めた。
(あっ、どうしよう…転ぶ…!)
「お嬢様…!」
勉の焦る声が響いた。
麗奈はぎゅっと目を閉じた。
「ったく、危ねぇな…気をつけろよ」
近くで聞こえた声に静かに目を開けると、転びそうになった麗奈を腕の中に閉じ込めている大知がいた。
「大知さん…」
「危なっかしい。そもそもヒールだからこんな…」
大知の逞しい腕に抱かれながら、麗奈は目を伏せた。
「ごめんなさい。大知さんがいらっしゃったから、つい…。嫌でしたよね」
離れようとする麗奈を大知はぐっと引き寄せ、抱き寄せる腕に力を込めた。
「あ、あのっ…」
「誰が離れていいと言った?」
「えっ、あ、あの…」
「勝手に離れんな」
大知は、少し遠くで自分を睨む勉を見て、自信たっぷりに笑みを浮かべた。
「でも…」
困惑しながらも、麗奈はなかなか離れようとしない。
「いつまで抱き合ってるつもりですか」
そんな甘い時間を不機嫌な勉に邪魔された大知は、溜息をついた。大知は静かに麗奈から離れた。
「あっ」
麗奈が声を上げたので、大知は目を丸くした。
「どうした?」
「あれは…薔薇ですか?」
麗奈が指差した先には、まだ咲いていない薔薇の花の蕾があった。
「まだ、咲いてねえけどな」
「いつ頃ですか?咲くのって」
「あれは夏バラだから…8月くらいかな」
「8月…私、薔薇が咲いているところ、見てみたいです」
「いいよ。咲いたら見に来いよ」
楽しみだなあ、と嬉しそうに呟く麗奈を見て、大知は頬を緩ませた。
勉だけが、腕組みをしてその場に突っ立っていた。
(あの川橋って奴と麗奈ちゃん…お似合いだよな)
そう思いながらしゃがみ込んで茶色い土を黙って見つめていると、頭上が暗くなった。
(ん…?雨が降るのか?)
しかし、空は青く晴れ渡っている。
「大知さ〜んっ」
声の主は、大知のそばに立つ麗奈だった。麗奈は大知と目が合うと、気恥しそうに目を逸らした。麗奈の近くには勉が立っていて、不機嫌そうに大知と麗奈の様子を見ていた。
大知は、すっと立ち上がった。麗奈は驚いて目を瞬かせた。大知は麗奈に背を向け、すたすたと奥へ行ってしまった。
「大知さん…?」
麗奈はしゅんとして、その場に座り込んでしまった。
しばらくすると、大知は戻ってきた。
「あっ、大知さん…!」
麗奈は、ぱあっと明るい笑顔を大知に向けた。すっくと立ち上がったかと思うと、麗奈は大知の方へ突進してきた。しかし、予想に反して麗奈は傾き始めた。
(あっ、どうしよう…転ぶ…!)
「お嬢様…!」
勉の焦る声が響いた。
麗奈はぎゅっと目を閉じた。
「ったく、危ねぇな…気をつけろよ」
近くで聞こえた声に静かに目を開けると、転びそうになった麗奈を腕の中に閉じ込めている大知がいた。
「大知さん…」
「危なっかしい。そもそもヒールだからこんな…」
大知の逞しい腕に抱かれながら、麗奈は目を伏せた。
「ごめんなさい。大知さんがいらっしゃったから、つい…。嫌でしたよね」
離れようとする麗奈を大知はぐっと引き寄せ、抱き寄せる腕に力を込めた。
「あ、あのっ…」
「誰が離れていいと言った?」
「えっ、あ、あの…」
「勝手に離れんな」
大知は、少し遠くで自分を睨む勉を見て、自信たっぷりに笑みを浮かべた。
「でも…」
困惑しながらも、麗奈はなかなか離れようとしない。
「いつまで抱き合ってるつもりですか」
そんな甘い時間を不機嫌な勉に邪魔された大知は、溜息をついた。大知は静かに麗奈から離れた。
「あっ」
麗奈が声を上げたので、大知は目を丸くした。
「どうした?」
「あれは…薔薇ですか?」
麗奈が指差した先には、まだ咲いていない薔薇の花の蕾があった。
「まだ、咲いてねえけどな」
「いつ頃ですか?咲くのって」
「あれは夏バラだから…8月くらいかな」
「8月…私、薔薇が咲いているところ、見てみたいです」
「いいよ。咲いたら見に来いよ」
楽しみだなあ、と嬉しそうに呟く麗奈を見て、大知は頬を緩ませた。
勉だけが、腕組みをしてその場に突っ立っていた。