Toxic(※閲覧注意)
「柴宮さん、正直に言うね」

私は口を開いた。

柴宮大和は相変わらず指を絡ませたまま、笑顔で頷いた。

「私、男性に口説かれて落ちたこと、1回もないの。だから、どうしたら落ちるかなんてわからないな」

私が言えば、柴宮は笑顔のまま「へえ」と相槌を打った。

「じゃあ夏目さんは、自分が好きになった相手を落とすタイプなんだ?」

「ふふ。だって私、射手座だし」

「射手座?狩人ってこと?……ふうん、でもね」

柴宮はそう言うと、指を絡ませるのをやめて、テーブルに頬杖をついた。

そして、色気のある笑みを浮かべて、こちらを楽しそうに見つめる。

「でもね、なに?」

「俺、欲しいものは絶対に手に入れる主義なの」

「へえ、そうなんだ?」

「だって俺、王様だから」

「王様?」

私が首を傾げたら、柴宮は「百獣の王」と答えた。

百獣の王、ライオン、つまり獅子座ということか。

「そうなんだ。じゃあ落としてみてよ、王様」

私が笑って言うと、柴宮は

「いいよ。次で絶対に落とすから。覚悟してて」

余裕たっぷりな笑みで、楽しそうにそう言った。
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