Toxic(※閲覧注意)
「条件?」

『このお客様、2泊ですよね。例の日本食ビュッフェプラン、これを1日は利用してください』

ああ、そういうことか。

日本食ビュッフェ……あの「テキトーな和食バイキング」のプランをちゃんと売ってくれと。

そんなのお安いご用だ。

「わかりました。スタンダードのビュッフェプランでいいのよね?」

『ええ』

「じゃあそれで見積り出すから、仮押さえよろしく」

『了解しました。では夏目さん、また』

柴宮大和がそう言ったので、私は「ええ、また」と言って通話終了ボタンを押した。

随分あっさり電話を切るのね。

彼の背後でひっきりなしに電話が鳴っていたから、相当忙しいのだろうが、なんだかつまらない。

もう少し話したかったのに。

私はふう、とため息をついて、それからまたPCに向かい、早速見積りを作り始めて……。

……え?

急に大きな違和感を感じて、キーボードを打つ手を止めた。

私、もう少し話したかったの?

やだ、なんで私が。

そもそも話したいって何よ。

今日あたり飲みに行きませんか?なんて誘われたかったの?

なんで、私が誘われるの楽しみに待ってるみたいになってんの?

ああ、やだ。

私はブンブンとかぶりを振って、またキーボードを叩き始めた。
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