Toxic(※閲覧注意)
メッセージは予想外に珍しい人物からだった。

山崎弘美(やまさき ひろみ)、高校の同級生で、旧姓は粕谷(かすや)だ。

『きょんきょん久しぶりー。元気? 今度プチ同窓会やるけど来る?』

「久しぶり! プチ同窓会? 誰が来んの?」

返事を返すと、ちょうどケータイをいじっていたのか、すぐに既読がついた。

『とりあえず都内に住んでる人には手当たり次第声かけてるよ。今5人くらい集まってるー』

「そうなんだ、いつ頃やんの?」

『GW明けた次の週の土日どっちか』

来月か、よかった。

今月中だったら全く行ける気がしなかったが、ゴールデンウイークが明ければ、仕事もかなり落ち着いているだろう。

「おっけー、たぶん行けると思う」

『よかったー!じゃあまた連絡するね。 あ、アヤちゃんち子供生まれたらしいから、会ったらおめでとう言ってあげてね』

「アヤ、結婚してたの?」

アヤこと綾子(あやこ)は、高校3年の時のクラスメイトだ。

旧姓は瀬戸(せと)、もちろん今の苗字は知らない。

とても地味でおとなしくて、私とは真逆。

苦手……いや、正直嫌いだった。

『確か4年前くらいに結婚して、子供も2人目だと思うよ』

「へえ、そうなんだ」

『まあとにかくまた連絡するよ。私そろそろ子供連れて買い物行かなきゃなの。じゃねー』

弘美からの返信を見て、思わず舌打ちする。

チャラチャラしてた弘美も、あの地味で男なんて無縁だったアヤも、みんな幸せな家庭を築いてる。

円香だってそうだ。

38で離婚して急に崖っぷちなんてのは、私だけ。

……別に再婚なんてしたくないけど。

なんか、やるせない。
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