Toxic(※閲覧注意)
それからしばらくは、Web小説を読みふけった。

栞を挟んである連載中の作品が、どれもしばらく覗かない間にかなり更新されていて、中には完結しているものまであった。

本を読むのは幼い頃から好きだ。

読むジャンルはさまざまだが、私が見ているケータイ小説は圧倒的に「恋愛」が多い。

恋愛小説なら、思いきりピュアか、思いきりドロドロがいい。

どちらも自分の恋愛とはかけ離れているから。

私も離婚はしているけれど、別に浮気だのなんだのが理由じゃないから、ドロドロした自覚はない。

そもそも、不倫する気持ちなんて理解できない。

他人のモノに興味が持てないからだ。

でも、理解できないからこそ、楽しむための作り物としては最高の設定だと思う。

小説は、非現実的であればあるほどいい。

たくさんの小説を夢中で読んでいたら、あっという間に夕方になった。

あーあ、もう休日が終わっちゃうのか。

きっと今テレビを付けたら、「~でございまーす!」から始まる例の長寿アニメが放送されていて、余計に日曜日の終わりを痛感できるに違いない。

そうは言っても、仕事は好き。

他人の旅行だけれど、考えるのはワクワクする。

ただ、一生懸命ツアーをコーディネートしても、実際にツアー客に会うことはないから、少しだけ空しい時はある。

同じ旅行業界でも、ホテル業だったら、お客の満足する顔が見れるんだろうなあ。

…………あ。

頭に浮かんだホテルという単語で、また柴宮大和の顔をうっかり思い出した。

面識のあるホテルの営業担当なんて、たくさんいるはずなのに。

なんでいちいちアンタが出てくんの。
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