Toxic(※閲覧注意)
夕飯は、米を炊いて、冷蔵庫にあったありあわせの食材で、味噌汁と肉野菜炒めを作った。

本当は少し飲みたい気分だったが、基本的に宅飲みは好きじゃないので、私の家には料理酒以外の酒が存在しない。

かと言って、飲みに出るのも億劫だ。

昼に起きてから、シャワーも浴びずにずっとゴロゴロしていたから、上下スウェット、勿論スッピンで髪もボサボサだ。

今さら外出の準備をするエネルギーが今日の私には残っていないので、アルコールは素直に諦めることにした。

独り暮らしは楽だけれど、食事だけは不満だ。

誰かと一緒に食事する方が、楽しいし美味しいもの。

味噌汁を啜りつつテレビをつけると、いきなり大きな笑い声がした。

人気のバラエティー番組だったので、そのままその番組を見ることにした。

クスクス笑いながら、1人食事をする。

自由で気楽。

でも……少しだけ淋しい。

私の歴代の男達は、恐ろしいほど束縛したがるから、いつ何どきだって私の傍にいたのだ。

いつもそれが窮屈で、私は逃げ出してしまうけれど。

独りは淋しい。

38にもなって、急に独り身になって……もし、これから先、ずっと独りだったら……。

考えたらゾッとする。

あーあ、私を絶対束縛しない、私がずっと夢中でいられる人、現れないかな。

できれば若くてイケメンで、お金持ち。

「はは……」

思わず渇いた笑いが口から漏れた。

そんないい男、都合よくオバサンに振り向いてくれるわけないか。
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