Toxic(※閲覧注意)
「ちなみにこれ、首輪だから」

大和は私の首元のネックレスを触りながら言った。

「首輪?ふふ、王様のペットってこと?」

私が笑って聞き返すと、彼は

「そ。めちゃくちゃ可愛がってあげるからね」

と言って、私の頭をよしよしと撫でた。

おかしい、ライオンの方がペットなんじゃないの?

まあ、いいけど。

百獣の王のペットになるのも悪くない。

「響子は飽きっぽそうだから、逃げないように首輪つけとくの」

「あはは。そうね、私手に入れたらすぐ冷めちゃうから」

でもそれは、私が自分で追いかけて、落として満足してしまうからだ。

今回は私が追いかけたわけでも、落としたわけでもない。

かと言って追いかけられたわけでもなく、それどこか、しばらく放置プレーをくらっていた。

よく考えてみれば、こんなケースは初めてかもしれなかった。

「大丈夫。響子の心は永遠に掴まえててあげるから」

彼は、私がいつか言った台詞を引用した。

「ふふ、期待してる」

私が笑ってそう言えば、

「余裕だね。でも絶対本気にさせてあげる」

大和は、ちょっとゾクゾクするような真っ直ぐな視線を向けて、それから、ちゅっと軽く口付けた。


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