Toxic(※閲覧注意)
「やっぱりね!響子の好きそうなタイプだと思ったもの」

円香は得意気な顔をして言った。

「で、2人の関係はどこまで進んだの?」

「どこまでって……だから、想像におまかせするって言ったじゃん」

「ふーん。とりあえずエッチはしたってことね」

麗らかな春のランチ中だというのに、彼女は臆面もなく言った。

聞いているこちらが恥ずかしい。

「んー、まあ」

「じゃあ、彼に好きって言われた?」

セックスの話の後に聞くの、順番おかしくない?

まあ確かに、好きって言われる前に、もう合体してたけど。

「……あー、一応ね」

性行為の最中の、嘘くさいアレだ。

あんなのは、セックスを盛り上げる、ただのスパイスくらいにしか思っていないが。

「そっか。で、いつものアンタだったら、ここで気持ちが冷めちゃうんだっけ?」

「あはは、そうね」

「でも今回は違うんだ?」

「え?」

「だって、響子が男からもらったアクセサリーを仕事に付けてくるなんて、雹か霰でも降りそう」

「……そうだっけ」

「うん。それにアンタ、自分で気づいてる?さっきからケータイちらちら見てるの。彼から連絡欲しいんでしょ」

「えっ、違うの! これは……」

私が焦って言い訳しようとしていたら、

ブーン、ブーン…………

手元のケータイが震えた。

「あら、愛しの彼かしら?」

からかうように言う円香に「うるさい!」と文句を言って、私は左上に出ていたメッセージ通知をタップした。
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