Toxic(※閲覧注意)
鉄板の上のお好み焼きは、ほどよく焦げ目がついてそろそろ食べ頃だ。

そう思っていたら、大和は何も言わずにソースやらマヨネーズをかけ、あっという間に切り分けて「ほら、お皿前に出して」と言った。

さっきもさっさとひっくり返してくれたし、鍋奉行ならぬ、お好み焼き奉行だ。

百獣の王らしい亭主関白なイメージを抱いていたのに、意外な一面だ。

ライオンは、雄は動かずに雌に狩りをさせる習性があるのだ。

「そういえば話戻るけど、大和はなんでブリリアントに入ったの?」

皿の上のお好み焼きをあっという間に食べ終えて、私は彼に尋ねた。

腹ペコだったしとても美味しいので、こんなの一瞬だ。

「俺がブリリアントにいる理由ねえ」

大和はそう言いながら、また鉄板の上のひときれを、私の皿に「はい」と乗せてくれた。

本当によく気が利くな、それに引き換え、私は女のくせに何もしないなあ、なんて申し訳なく思っていたら、

「株式会社ブリリアントの社長の息子だからじゃん?」

大和が突然、よくわからないことを言った。

「は? 誰が?」

一体誰の何の話が始まったのか、そう思って聞き返すと、大和は自分の顔を指差した。

「俺が。ブリリアント、俺んち」

「……ええっ?!」

ウソでしょ?!

この人本物の王様、というか王様の息子だった!
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