Toxic(※閲覧注意)
──やっぱり世の中、甘い話なんてないのだ。
若くてイケメンで、頭もよくてセックスもうまくて……しかも大会社の社長のご子息。
そんなハイスペック過ぎる男性が、こんな38(今年で39)のバツイチ崖っぷちオバサンの前に、都合よく現れるわけがない。
正直、どこかで不思議に思ってはいた。
こんな若くてイイ男が、どうして私なんかの相手をするのだろう、と。
……そっか、アバンチュールがしたいのは、大和の方だったのね。
よかった、本気で好きになる前で。
「結婚してたの? 全く聞いてないよ」
「あれ? まじで言ったつもりでいた」
……嘘ばっか。
きっと彼は確信犯だ、でもそれを責めるのは何か違う気がした。
だって、こんなのラブゲームだとたかをくくって、訊かなかった私も悪い。
でも、どうせ嘘つくなら、嘘つき通してほしかったな。
不倫って知った以上、私はもう……。
「でも、別にそんなの関係ないじゃん」
大和は悪びれもせずそんなことを言った。
前言撤回、これ、怒っていい気がする。
「何が関係ないの!」
「だって俺、響子のこと、本気で好きだし」
あまりに真剣な顔で言うから、一瞬気持ちが傾いてしまいそうになった。
…………でも。
「知らない。……もう連絡してこないでね」
私は淡々と言うと、一万円札をテーブルに置いて、席を立った。
「は?なんで?」
「じゃあね、ばいばい大和。楽しかった」
笑顔で手を振って、私は店を出た。
ほんの一瞬だけど、いい男といい夢見れてよかった。
本気で好きになる前で、ほんとよかった。
ねえ……なんで追いかけて来てくれないの?
そう思ったのは、きっと気のせいだ。
若くてイケメンで、頭もよくてセックスもうまくて……しかも大会社の社長のご子息。
そんなハイスペック過ぎる男性が、こんな38(今年で39)のバツイチ崖っぷちオバサンの前に、都合よく現れるわけがない。
正直、どこかで不思議に思ってはいた。
こんな若くてイイ男が、どうして私なんかの相手をするのだろう、と。
……そっか、アバンチュールがしたいのは、大和の方だったのね。
よかった、本気で好きになる前で。
「結婚してたの? 全く聞いてないよ」
「あれ? まじで言ったつもりでいた」
……嘘ばっか。
きっと彼は確信犯だ、でもそれを責めるのは何か違う気がした。
だって、こんなのラブゲームだとたかをくくって、訊かなかった私も悪い。
でも、どうせ嘘つくなら、嘘つき通してほしかったな。
不倫って知った以上、私はもう……。
「でも、別にそんなの関係ないじゃん」
大和は悪びれもせずそんなことを言った。
前言撤回、これ、怒っていい気がする。
「何が関係ないの!」
「だって俺、響子のこと、本気で好きだし」
あまりに真剣な顔で言うから、一瞬気持ちが傾いてしまいそうになった。
…………でも。
「知らない。……もう連絡してこないでね」
私は淡々と言うと、一万円札をテーブルに置いて、席を立った。
「は?なんで?」
「じゃあね、ばいばい大和。楽しかった」
笑顔で手を振って、私は店を出た。
ほんの一瞬だけど、いい男といい夢見れてよかった。
本気で好きになる前で、ほんとよかった。
ねえ……なんで追いかけて来てくれないの?
そう思ったのは、きっと気のせいだ。