Toxic(※閲覧注意)
GWが明けて仕事が落ち着いてきた頃、私は平日に代休を取ることにした。
どの休日出勤に対しての代休なのか、もうよくわからないけれど。
来週の土曜日にプチ同窓会があるのを思い出して、久しぶりに美容院やらネイルサロンやらに足を運ぼうと思ったのだ。
女性同士で外見の見栄を張り合っても意味ないけれど、女というのはそういう生き物だし、年を取れば取るほどそれは顕著になっていく。
女はいくつになっても女であり、お姫様。
もう歳だからとか、私はどうせブスだからとか、どこかで諦めたふりをしながら、どこかで諦めきれない。
女が集まれば、その中で一番のお姫様でありたいのだ。
美容院に着いて荷物を預けると、さっそく席に案内された。
「夏目さん、今日はどうするの?」
目の前の大きな鏡に、自分の姿が映る。
「…………」
思わず絶句した。
……これが、今の私なの?
勿論、メイクをする為に、毎朝鏡で顔は見ていたし、ああ老けたな、という自覚くらいはあったのだ。
けれど、最近仕事が忙し過ぎたし、自分の外見に気を使う余裕は全くなかったのだ。
ぶくぶく太って、なんだか猫背だし、肌はボロボロ、目の下にはくまがくっきりだし、髪なんて伸びたい放題でプリンだし……。
生まれて初めて、鏡を割りたいと思った。
美容院に来て、気づいて本当によかった。
こんな私じゃ、みんなに会えない。
特にあのコケシには、こんな姿見られたくない。
あの子には、一生妬まれる存在でいたいもの。