Toxic(※閲覧注意)
家に帰ってから、私は鶏肉をネギと生姜で茹でて、棒々鶏を作った。
それから、トマトと卵のスープ、あとはモヤシのナムルも作った。
これが今日の夕飯、全てダイエットを考慮したメニューだ。
炭水化物抜きはあまりよくないと噂されているが、手っ取り早く痩せるにはこれが一番なのだ。
食べながらぼんやりとテレビと観ていたら、テーブルの上のケータイが震えた。
……もしかして、大和?
一瞬でも期待してしまう自分が情けない。
私は今さら、大和から何を言われたいのだろう。
例えば「好きだよ」「会いたいよ」……そんな言葉をもらって、私はどうする気なのか。
もう仕事以外で会うつもりもないのに。
まあ、こんなこと考えるのは無意味だ。
……だって、きっともう、連絡なんて来ない。
彼のアバンチュールに付き合えない私は、彼にとってもう、何の価値もないはずだから。
軽くため息をつきながら、ケータイを手に取った。
あーあ、最近ため息しかついてない。
メッセージは円香からだった。
『響子今、赤坂にいたりする?』
赤坂? ずいぶん唐突な話だ。
「いないけど、なんで?」
『どこにいるの? てゆーか今、片桐さんと一緒にいたりする?』
円香から送られてきた文面に、私は思わず「は?」と声に出した。
大和ならともかく、なぜ前夫の片桐の名前が?
大和が既婚者でもう会わないと決めたことを、私はまだ円香に話していなかった。
もう少し気持ちの整理がついたら話そう、そう思っているだけなのだけれど。
情けないことに、全く整理がつかない。