Toxic(※閲覧注意)
「あーあ、そろそろ帰らなくちゃ」
円香が腕時計に目を落として、残念そうに言った。
あのピンクゴールドの腕時計はGUCCIだ。
結婚記念日に旦那様にもらったらしい。
いいなあ、私なんて、結婚記念日にお祝いどころか、たまたま男友達からLINEが来て、それを夫に見つかってデータ消されてたのに。
ちなみに、私の腕時計はAngelHeartのエターナルクリスタル。
何が「エターナル」だろう、永遠なんて、私には一番縁のない言葉だ。
会計を済ませて、店を出た所で、円香が「あ、そういえば」と何かを思い出したように口を開いた。
「ブリリアントの営業担当、代わるの知ってる?」
ブリリアント、正式名称はブリリアントホテル東京。
高級なシティホテルで、うちの会社の取引先だ。
「ああ、らしいね。なに、人事異動?」
「多分そうじゃない?で、明日新しい営業さんがうちに挨拶に来るらしいわよ」
「めんどくさ。挨拶なんて電話でいいじゃん」
その挨拶の窓口は私なのだ、思わず口を尖らせると、円香は「まあまあ」と私をなだめる。
「もしかしたら、響子が好きそうな若いイケメンかもしれないわよ?」
「女性かもしんないでしょ」
「ま、念のため気合い入れてメイクしとけば?」
円香はそんなことを言って「じゃあ、また明日ねー」と手を振った。
円香が腕時計に目を落として、残念そうに言った。
あのピンクゴールドの腕時計はGUCCIだ。
結婚記念日に旦那様にもらったらしい。
いいなあ、私なんて、結婚記念日にお祝いどころか、たまたま男友達からLINEが来て、それを夫に見つかってデータ消されてたのに。
ちなみに、私の腕時計はAngelHeartのエターナルクリスタル。
何が「エターナル」だろう、永遠なんて、私には一番縁のない言葉だ。
会計を済ませて、店を出た所で、円香が「あ、そういえば」と何かを思い出したように口を開いた。
「ブリリアントの営業担当、代わるの知ってる?」
ブリリアント、正式名称はブリリアントホテル東京。
高級なシティホテルで、うちの会社の取引先だ。
「ああ、らしいね。なに、人事異動?」
「多分そうじゃない?で、明日新しい営業さんがうちに挨拶に来るらしいわよ」
「めんどくさ。挨拶なんて電話でいいじゃん」
その挨拶の窓口は私なのだ、思わず口を尖らせると、円香は「まあまあ」と私をなだめる。
「もしかしたら、響子が好きそうな若いイケメンかもしれないわよ?」
「女性かもしんないでしょ」
「ま、念のため気合い入れてメイクしとけば?」
円香はそんなことを言って「じゃあ、また明日ねー」と手を振った。