君に好きだったと伝えるまで…

「蘭。」と私は不意に呼ばれた。
「何？」カンバスに向かいながら言った。
「今何時？」と潤が言う。
「今？5時。」私は言った。
「ふ〜ん」と潤は素っ気なく言う。
私は、なんだろうと思いながら、筆を動かした。

5時30分になり、ガラッと美術室の扉が開いた。
「お前ら、もう下校時間過ぎとるぞ！」と先生が入って来て言った。
「ヤベッ」と潤が言った。
「逃げるぞ！」と画材を片付けている私の手を引っ張って、美術室から飛び出した。
「なんで？」私は、走りながら聞いた。
「アイツの説教長いんだよ。」と潤は言った。