砂時計が止まる日
次の日、私はいつも通りの朝を迎えた。
砂時計を返し、顔を洗って準備を始める。
心菜の起こしてから類の部屋に入った時、違和感を感じた。
普段あるものはない気がする。
何かが足りない、そう感じた。
ただ、謎の違和感だけでその要因がわからない。
「類、起きて。朝ですよ。」
私は疑問を紛らわせるように、類の布団を剥ぎ取る。
類は私が寝た後にお風呂に入ったのだろう、いつも通りパジャマを着ていたし、昨日置いておいた食器も洗われて乾かされていた。
微かに目を開けた類の顔に類のワイシャツを被せた。
昨日の類の様子をおかしかったけれど、起きてからの類の様子は変わらなかった。
類はクラブチームの、心菜は部活の朝練に送り出してからお母さんとのやりとりのノートを書いた。
その中に類の野球の月謝の支払いの話が書かれていた。
野球なんていつから見に行かなくなっただろう、私が中学生の頃は毎試合のようにお弁当持って心菜を連れて観戦に行った。
あの頃は試合を見るのが受験勉強の息抜きだった。
小学生の類は無邪気だけど、小生意気で、あの時はイライラしたりもした、それでも可愛い弟で毎日頭をわしゃわしゃと撫でた。
私より小さな体で必死にバットを振るのを見るのが楽しかった。