砂時計が止まる日
家を出てから40分、校門をくぐった。
都内に大きく構える白い校舎。
私がここを目指したきっかけでもある、砂時計をかたどった校章が大きく掲げられている。
生徒指導部の先生が、身だしなみのチェックをしている。
50代の女の先生に声をかけられた。
「新垣さん、スカート丈、大丈夫?短くない?」
私はぐいっと引っ張ってスカート丈を確認する。
規定の膝ギリギリの長さ。
「まぁ、ギリギリセーフね。
新垣さんだから許すけど、気をつけてね。」
そのメガネの奥の目が笑う。
先生とは直々話す仲。
厳しく見られがちだけれど、すごく優しい先生だ。
お礼を言って校舎に入った。
「新垣。」
校舎に入ると白川君がこっちに歩いてきていた。
「今日シフト入ってる?
行こうかなって思うんだけど。」
「うん、放課後は閉店までいるからいつ来てもいいよ。」
彼はバイトという単語は出さない。
これも彼の思いやりなんだ。
「噂の2人で密会ですか?」
茶化すように一夏が言う。
そっぽを向いて階段を登ると一夏が慌ててついてくる。
必死に謝る一夏を白川君が笑い、私も思わず笑みがこぼれる。