砂時計が止まる日


「こんにちは。」

「お、待ってたよ〜」



私が入口から入り、挨拶をするとカウンターの中にいるマスターが笑顔で迎えてくれる。

彼がコーチのお兄さん。



「着替えてきます。」



私は裏に入ってロッカーを開ける。
学校の制服をハンガーにかける。

首元の開いた白いカットシャツ、黒のパンツとスカーフ、えんじのカフェエプロンに同色のベレー帽。

個人的には大好きな制服だ。



下ろしている髪をひとつに結ぶ。

ロッカーに鍵をかけて私はカウンターに向かった。



「ゆー、3テーブル片付けておいて。」



私が出るとパンケーキを焼いていたマスターの奥さん、真奈さんが私にそう言った。

“ゆー” というのはカフェでの私の愛称。



先輩の中に赤嶺希良さんと言って区別するために真奈さんが赤嶺さんを“きー”、私を“ゆー”と呼び始めて今ではみんながそう呼ぶ。

< 11 / 200 >

この作品をシェア

pagetop