砂時計が止まる日
「信じてよかったんだよ。
貴斗君や周りのチームメイトはそんな弱くない。
きっとあの場所で類が出なくてもきっと貴斗君や内野手がどうにかしてくれた。
もしかしたら3塁まで行かれたかもそれないけど、それで類が抑えればよかった。
今回の敗因は類の心が弱かったこと。
類は私の知らないところで凄い強くなってた。
だから、今度は心が強くなれば、きっと類は最強の球児になれる。
待ってるよ、類が甲子園のマウンドに立つのを。
私は信じてる、類が最強の球児になるのを。」
類の背中越しに鼻をすするのが聞こえる。
「姉ちゃん、姉ちゃん...」
「大丈夫、悔しいのはわかってる。
でも悔しい思いをした類はもっと強くなれる。」
類は私に抱きついて泣いていた。
私はその震える背中を擦りながら空を見上げる。
きっと、お天道様は見ている。
誰よりも強くて弱い、私の弟のことを。
そんな類が強くなりたいと願う限り、私は精一杯力になりたいと思う。