砂時計が止まる日
一夏が過保護でいてくれる理由はわかってる。
自分でも十分気を付けているつもりだ。
でももう何年も経ったんだから、と心のどこかで思っている自分がいるのも気付いている。
チャリンチャリン
「いらっしゃいませー」
ドアに着いた鈴がなり、私は電卓を打っていた手を止めて立ち上がりレジ横の伝票用のボードを取った。
「こちらの席でよろしいでしょうか?
ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください。」
私はお客様を席に案内して伝票に席の番号を書き込んで机の下の伝票受けに差し込んだ。
「お客さんも増えたから私この書類終わらせたら仕事戻るよ。」
一夏にそう言って私はまた電卓を打ち始めた。
タイピング音に混じって私の電卓を打つ音がする。
「じゃ、あとは頑張って。」
7時を直前に控え、夕食をとる人が続々と来店する。
一夏は夕食もとらずに延々とカウンターで電卓と書類とを睨みながら作業をしていた。
私はそんな様子を見なが注文品を運んだりお皿を洗ったり、レジを打ったりと仕事をこなしていた。