砂時計が止まる日


思い当たる所、心菜が行きそうところを家の近い順に回って行った。

近くの公園、コンビニ、小学校。



「由羅ちゃん、どうしたの?」



「芽衣さん!心菜、来てないですか?」



私は心菜の1番の友達の家を尋ねた。



「心菜ちゃん来てないわよ。



...もしかして帰ってないの?」



「見つからなくて今、色んな所を回ってて。」



私の言葉に友達のお母さんが少し慌てる。



「もう10時半になるわよ!?

警察に連絡した方が...」



「大丈夫です、もう少し自分の足て探してみます。

夜分遅くに失礼しました。」



私は彼女にもうびしょびしょになった頭を下げてまた走り出した。



事故に遭ってるかもしれない、事件に巻き込まれているかもしれない

...いや他に説はある。



どんな理由であれ、心菜は今苦しんでいる。



そんなことを思うと全力で走れていない自分が忌々しくて、傘を閉じた。



足元にできた薄い水たまりを踏むとばしゃっと跳ねる水がまたローファーの中に入ってくる。



必死になって走っている私にすれ違う人が奇異なものを見る目を向ける。



そんな雨に打たれ水を踏む音でふと、忘れかけていた大切なものを思い出す。

私はくるりと180度向きを変えてまた走り出す。

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