砂時計が止まる日
「バカだね、心菜は本当にバカだよ。
私が心菜のことをお荷物だと思ったことがあると思ってるの?
心菜はね、私の唯一無二の妹なんだよ!
私が大好きな可愛い妹なの!
家に帰ったらいつでも心菜が笑顔で迎えてくれる。
それだけで私は頑張れる。
女の子はね、少しワガママなぐらいが可愛いの。
私はそんなワガママ言える立場にいないけど、心菜はワガママを言っていいの。」
私の顔は雨と涙でぐちゃぐちゃになる。
「覚えてる?
私が中学生の頃、この公園で遊んでたら雨が降ってきて。
ざあざあ降りの中、2人でさアイドルのMVの真似して踊ったじゃない?
びしょびしょになってお母さんに一晩中怒られたの。
私ね、凄く楽しかったの。
その頃はまだお姉ちゃんぽいことしてあげられてなかったから、初めて自分が心菜のお姉ちゃんになれたと思った。」
そう、あの時初めて心菜と向き合えたと思う。
傘を使ったあのダンスをもう覚えている人も少ないだろう。
2人で真っ白なワンピースや髪から雨水を滴らせながら踊っていた。