砂時計が止まる日


16時を回り、することも底をついた私は夕飯作りを始めた。



時間もかなりあるので、普段は作れないようなものを作ろうと考える。

冷蔵庫の中身を確認しながら献立を試行錯誤する。



メニューを決めた私は必要な食材を取り出した。



揚げ物なんて久しぶりだ。

私は豚のロースを揚げようと準備を始める。



すると、ガチャと鍵が開いた。



「ただいま〜

あれ、お姉ちゃん?」



「おかえり。今日学校休んだの。

もう元気になったしやることないから晩御飯の準備。」



私は心菜の驚く姿を見て笑う。



「何作ってるの?」



「今日はね、カツ丼にようかなって。三葉もあることだし。」



心菜は台所に広げた食材を眺める。



「お家で食べるの初めて?」



「ごめんね、いつもちゃんとしたもの作れなくて。」



私は少し申し訳なくなった。



バチバチと油がはねる音がする。
そんな音さえ私を急かす。



私はただ、ここにいたいだけなのに。

少しだけワガママを言わせてよ、神様。

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