砂時計が止まる日


心菜がお風呂から上がるころ、お母さんの言う通り、類がユニフォームと髪を濡らして帰ってきた。



「もう、お風呂入ってきな。」



私はそう言っていつか一夏が私にしたようにタオルを頭にかけてわしゃわしゃと拭いた。



予定より1つ、2つ増えたカツを揚げて卵を割っていた。



「また、料理上手になったね。」



お母さんは私が卵を片手で割るのを見てそう笑った。



「ごめんね。」



きっとお母さんは私に日々料理をさせている、と自分を責めて私に謝っている。



お母さんは悪くないの。

悪いのはすべて...



『由羅のバカ。』



ふと一夏の言葉が脳裏を過ぎた。



そんなこと言ったらお母さんにも心菜にも一夏にも怒られる。



久しぶりに家で4人で食べたご飯はいつもの冷めたご飯の何倍も何十倍も美味しかった。



「また、一緒に食べようね。」



心菜がそう笑顔で言った。



「また、いつか、ね。」



私たちは忙しい。

叶えられるのは、いつ、になるか。
それはわからない。

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