砂時計が止まる日
そこには“市立松木第三中学47期卒業アルバム”とかかれていた。
「アルバム、見てて。
お茶入れるから。」
彼女はキッチンの棚を開けて僕の方を見てくる。
僕は彼女の指示に従ってアルバムを開いく。
最初にたどり着いた個別写真。新垣の写真を探すと僕が高校で初めて見かけた頃とさほど変わらない彼女がいた。
その次に見つけた彼女が映る写真は今の面影が残っているものの、明らかに子供らしい。
そう、本当に心菜ちゃんにそっくりで、きっと心菜ちゃんが高校生になると今の新垣とそっくりになると思う。
ページを進めるにつれて垢抜けた、というのがふさわしい彼女の姿が印象的だった。
「はい、どうぞ。
学院長室でもらった茶葉です。」
彼女が僕の前に出てきたカップの紅茶はよくダージリンの香りが引き出されているのがよくわかる。
たった2杯で部屋全体が紅茶の香りに包まれる。
「さすが、カフェ店員さん。」
「恐れ入ります。」
彼女は僕の向かい側に座った。
この茶葉を渡した時、僕は新垣がどんな人かはよく知らなかった。
ただ、はっきり自分の意見が言える優秀な生徒会長、という印象だけだった。