砂時計が止まる日
それから2人で長々と話し続けた。
淹れてもらった2杯目の紅茶ももうすっかり冷めてしまった。
「じゃあ、またね。」
「うん、次会えるのはいつかわからないけど、学校で、会おう。」
新垣は僕を玄関まで送ってくれた。
ドアが閉まり自宅へと足を向けようとした時だった。
鍵が締まる音の代わりに大きな物音がした。
嫌な予感が脳裏を過ぎ、僕は体の向きを反対に向けた。
「新垣!新垣!?」
僕はドアを叩きながら声を上げた。
返事は返っては来ず、僕は慌ててドアを開けた。
そこには玄関で倒れている彼女がいた。
急いで駆け寄り、声をかけるも意識がない。
ポケットからスマホを取り出して119に電話をかける。
「あの!友人が倒れて!
救急車、お願いします!」
そこまで言って靴箱の上に置かれていた郵便物の住所を確認した。
その電話をかけ終わったあと、SNSの連絡先から荒木を探し、電話をかけた。
「もしもし!」
《何、どうしたの白川君?》
僕の声とは対照的に落ち着いている荒木。
「今、新垣の家に来てたんだけど、新垣が倒れて!
救急車は呼んだんだけどやっぱ誰かいた方がいいと思って。」
《え、今由羅の家だよね?すぐ行く!》
荒木の方でも空気が変わったのが電話越しにも伝わってくる。
ぷつりときれた電話を確認し、僕は新垣の様子を確かめていた。