砂時計が止まる日
「そう、病名は聞いてないでしょう?どうする、私から伝えることもできるけど。」
僕はその問いに少し答えを出しかねた。
「いいよ、僕は聞かない。
僕は約束した。
僕は新垣の居場所になる、って。
だから僕は新垣とできるだけ同じ視点でいたいんだ。」
「そう、白川君らしい答え。」
荒木は俯いてしまった。
どれだけの時間が経っただろうか、新垣の検査が終わり、彼女の意識が戻ったと伝えられたのは。
急いで病室に行くと1人部屋でぼんやり窓の外を見る新垣の姿があった。
「また、戻ってきちゃった。
戻ってなんて来たくなかった。」
彼女は荒木に向かってそう言った。
「大丈夫よ、一時的なものでしょう?」
荒木のその言葉に新垣は首を振った。
「再発だって。
もうこう言うしかないって言われた。
私はまたここで死へのカウントダウンをしながら過ごしていくんだって。」
僕は彼女のそんな悲しい声を聞いてられなくて僕はそっと病室を離れた。